人工知能(AI)、ビッグデータ法務 著作権
AIと著作権【第8回】類似AI生成物の「生成」における行為主体性~ロクラクⅡ事件判決をベースに徹底的に考える~
2025年7月にSTORIA法律事務所の柿沼・杉浦の共著で日本加除出版から書籍「AIと法 実務大全」を出版します。
本書は650頁超というボリュームでありながらも、AI開発や利活用に問題となる点を「網羅的」に解説するものではありません。あくまで、現場の方がAI開発や利活用を行う際に、法律的によく問題となる論点とその解決手法に照準を絞っています。その分個々の論点については、最先端の議論を下敷きにしつつ実務的に相当深掘りした記述となっています。
書籍の出版に先立ち、その一部である「第2章 生成AI開発・提供・利用と著作権」について日本加除出版からご了解を得て、ブログで連載記事として先行公開することとしました。
「一部」といっても記事合計13万字を越えるボリューム(ほぼ新書1冊分!)であり、ブログ公開を快諾いただいた日本加除出版には感謝しかありません。
この連載記事を読んで興味が湧いた方は是非書籍をお買い求めください!
連載「AIと著作権」全18回の目次を表示
- 第1回 プレイヤー・フェーズ・提供形態による法的整理
- 第2回 AI学習段階での著作物利用はどこまで許されるか?──著作権法第30条の4の射程
- 第3回 学習用データとして“何を使ってはいけないか”を見極める~学習対象の観点からの検討~
- 第4回 海賊版や学習禁止表示がされている著作物をAI学習に利用することができるか
- 第5回 開発・学習段階での著作権侵害行為が発生した場合、侵害者はどのような責任を負うか
- 第6回 生成・利用段階では何が問題になるのか?
- 第7回 類似AI生成物の「生成」における依拠性をどのように考えるか~複雑な論点を解きほぐす~
- 第8回 類似AI生成物の「生成」における行為主体性~ロクラクⅡ事件判決をベースに徹底的に考える~
- 第9回 生成された類似AI生成物を利用すると著作権侵害?
- 第10回 類似AI生成物の「送信」は誰の責任?──クラウド提供型AIにおける著作権侵害リスクを検証する
- 第11回 生成・利用段階で著作権侵害行為が認められた場合、権利者は何を請求できるのか
- 第12回 RAG・ロングコンテクストLLMと著作権侵害(前編)
- 第13回 RAG・ロングコンテクストLLMと著作権侵害(後編)
- 第14回 RAGシステムのための既存著作物の蓄積・入力などは著作権侵害になるのか
- 第15回 RAGとAI利用者の責任~入力・送信・出力のそれぞれで何が問われるか?~
- 第16回 AI生成物に著作権はあるのか?~著作物性と“創作的寄与”の最新実務論~
- 第17回 その行為に日本著作権法は適用されるか~準拠法の問題~
- 第18回 で、結局何に気をつければよいのか~AI開発者・AI提供者・AI利用者それぞれの注意事項~
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Contents
イ 行為主体性
AI利用者による依拠、又はAIによる依拠が肯定され、著作権侵害が成立する場合、次に当該著作権侵害行為を行った主体はだれか、が問題となります。
AIと著作権侵害における行為主体性の判断基準を検討するに際しては、「複製」における行為主体性が問題となったロクラクⅡ事件最判(最判平成 23 年1月 20 日民集 65巻1号 399 頁〔ロクラクⅡ事件〕)が参考になります1『AI と著作権』129 頁〔横山〕、髙部眞規子「著作権侵害訴訟における主張立証と「AI と著作権に関する考え方」について」ジュリスト1599 号(2024)82 頁 。
(ア) ロクラクⅡ事件とは
ロクラクⅡ事件で問題になったサービス(以下「ロクラクⅡサービス」という)は、簡単にいうと、日本国外に居住している視聴者が、日本国内で放送されているテレビ番組を視聴することができるようにするサービスです。
具体的には、以下のようなサービスです(図63)。
■ 前提
ロクラクⅡは,2台の機器の一方を親機とし,他方を子機として用いることができる(以下,親機として用いられるロクラクⅡを「親機ロクラク」といい,子機として用いられるロクラクⅡを「子機ロクラク」という。)。親機ロクラクは,地上波アナログ放送のテレビチューナーを内蔵し,受信した放送番組等をデジタルデータ化して録画する機能や、録画に係るデータをインターネットを介して送信する機能を有し,子機ロクラクは,インターネットを介して,親機ロクラクにおける録画を指示し,その後親機ロクラクから録画に係るデータの送信を受け,これを再生する機能を有する。
■ サービス利用の流れ
① サービス提供者が複数の親機ロクラクを日本国内の保管場所に設置し、同親機に1対1で対応する子機ロクラクをユーザに貸与又は譲渡する。
② サービス提供者が同所でテレビアンテナで受信したテレビ放送の放送波を、親機ロクラクに入力する
③ ユーザが,手元の子機ロクラクを操作して特定の放送番組等について録画の指示をする
④ その指示がインターネットを介して対応関係を有する親機ロクラクに伝えられる
⑤ 親機ロクラクには,テレビアンテナで受信された地上波アナログ放送が入力されており,上記録画の指示があると,指示に係る上記放送番組等が,親機ロクラクにより自動的にデジタルデータ化されて録画され,このデータがインターネットを介して子機ロクラクに送信される
⑥ ユーザが,子機ロクラクを操作して上記データを再生し,当該放送番組等を視聴する。

図63
ロクラクⅡサービスでは、ユーザの指示に従ってテレビ番組を受信して親機ロクラクに録画をしているのはサービス提供者ですが、録画の指示を出しているのがユーザであることから、「サービス提供者が(録画という)複製の行為主体に該当するか」が争われました。
AI開発者あるいはAI提供者がAIモデルを提供し、AI利用者が同AIモデルを利用して既存著作物と類似するAI生成物を生成(複製)した場合に、「AIモデルを提供しているAI開発者・AI提供者が、当該AI生成物の生成(複製)の行為主体か」が問題になるのと問題状況としてはパラレルと言えます。
ロクラクⅡ事件において、最高裁は, まず一般論として, 「複製の主体の判断に当たっては,複製の対象,方法,複製への関与の内容,程度等の諸要素を考慮して,誰が当該著作物の複製をしているといえるかを判断するのが相当である」と判示しました。
その上で,本件について,「サービス提供者は単に複製を容易にするための環境等を整備しているにとどまらず, その管理,支配下において,放送を受信して複製機器に対して放送番組等に係る情報を入力するという,複製機器を用いた放送番組等の複製の実現における枢要な行為をしており,複製時におけるサービス提供者の上記各行為がなければ, 当該サービスの利用者が録画の指示をしても,放送番組等の複製をすることはおよそ不可能」であるとして 「サービス提供者はその複製の主体である」 と判示しました(強調部筆者)2ちなみに、ロクラクⅡ事件最判はユーザが複製主体となるかについて言及していない。もっとも、同最判の原審(知財高判平成21 年1月27 日(平成20 年ネ10055 号・10069 号))は、サービス提供者ではなく、ユーザが複製の主体になると判断している(『AI と著作権』136 頁〔横山〕)。 。
(イ) ロクラクⅡ最判を踏まえた、類似AI生成物の「生成」に関する行為主体の判断要素
ロクラクⅡ最判の考え方を前提とすると、類似AI生成物の「生成」(複製)における行為主体性の判断に際しては、学習モデルの開発から生成物の出力に至るまでの一連の流れにおいて、複製の対象,方法,AI開発者・AI利用者それぞれの複製への関与の内容,程度等の諸要素を考慮し、いずれが(あるいは双方が)、既存著作物と類似するAI生成物の生成(複製)における「枢要な行為」を行っているか(重要な役割を果たしているか)という観点から判断することになると思われます3 横山・前掲注86)131 頁。
より具体的には、① AI開発者の行為主体性を高める要素としての「AI開発者が学習対象著作物の類似AI生成物を高頻度で生成するような学習行為を行ったか」、及び② AI利用者の行為主体性を高める要素としての「AI利用者が類似AI生成物の生成のための積極的行為を行ったか」の2つの要素から総合的に行為主体性を判断すべきと考えます。
(ⅰ) AI開発者が、学習対象著作物の類似AI生成物を高頻度で生成するような学習行為を行ったか
ロクラクⅡ事件では、サービス提供者が複製主体に該当すると判断された理由として「複製対象の放送番組をサービス提供者が自らの支配管理下で複製機器に入力している点」が重視されたと評価されています4金子敏哉「テレビ番組の録画・転送に係るサービスと複製の主体(ロクラクⅡ上告審)」速報判例解説vol. 9・知
的財産法No. 7(2011) 。
ロクラクⅡ事件のような事案の場合、サービス提供者がアンテナを利用して受信した著作物(番組)の中からユーザが対象著作物を指定すると、必ず当該著作物が複製機器に入力されて複製されることから、複製機器への「入力」が重視されていると思われます。
一方、生成AIの場合、AI開発者がAI学習のために対象著作物を利用していることは事実ですが、AI利用者が生成指示をしたからと言って、必ず学習対象著作物の類似物が出力(複製)されるわけではありません5本山先生は、「従来の下級審も含めた規範的利用主体論に関する一連の解釈に照らすならば、この関係(筆者注:関与者の行為(サービス提供)がなければ物理的な利用主体の利用行為も生じ得ない関係)にも、関与者のサービス提供が例外なく一義的に物理的利用主体の無許諾利用行為を導く場合(筆者注:例としてロクラクⅡ最判やクラブ・キャッツアイ事件最高裁判決(最三小判昭和63 年3月15 日民集42 巻3号199 頁))と、関与者のサービス提供が物理的利用主体の無許諾利用行為の蓋然性を導くに過ぎない場合(筆者注:例としてTV ブレイク事件高判(知財高判平成22 年9月8日判時2115 号102 頁))との二種類が認められるところであり、前者の場合には関与者の規範的利用主体性がそのまま肯定される一方で、後者の場合に規範的利用主体が肯定されるには、関与者の当該関与の態様においてさらなる事情が必要となっているように思われる。」としたうえで、「類似表現物の無許諾作出に特化した生成AI の場合を除き、汎用性ある生成AI の開発者・提供者には、AI ユーザーの類似表現物の作出行為について肯定される無許諾利用行為との関係で、当該生成AI サービスの提供態様とは無関係に一律に、その規範的利用主体性が肯定される可能性は低いものと解されよう。」とする(本山雅弘「生成AI による著作物の利用主体―生成AI による類似表現物の作出行為における利用行為の成否とその主体―」SOFTIC Law Review1巻2号(2024)18 頁〜19 頁)。 。
したがって、生成AIの場合、類似AI生成物を高頻度で出力するような学習行為を行っているかがAI開発者の行為主体性を認めるための重要な判断要素となります。
具体的には、①学習対象著作物をそのまま出力させるような学習(表現出力目的学習)や、②作風模倣目的の学習を行っている場合がこれに該当します。
なお、開発・学習段階におけるAI開発者のAI学習のための著作物利用行為に著作権法30条の4が適用されるかの論点においては、「表現出力目的の学習は享受目的が併存しているため著作権法30条の4は非適用だが、作風模倣目的の学習には同条が適用される」と説明しました。
しかし、「類似AI生成物が生成された場合において、AI開発者の行為主体性が認められるか」の論点においては、AI開発者の学習行為の態様が問題となることから、作風模倣目的の学習を行っていることもAI開発者の行為主体性を認める要素となると考えます。
(ⅱ) AI利用者が類似AI生成物の生成のための積極的行為を行ったか
次に、AI利用者の生成行為の積極性です。
たとえば、AI利用者が抽象的な生成指示しかしていないのか、既存の著作物の類似物の生成を意図して生成 AI に詳細なプロンプト入力するなどの指示を行っているのか、既存著作物を生成AIに入力してその類似物を生成(所謂i2i)しているのかなどです(i2iの場合「複製の対象」はAI利用者がAIに入力した著作物です6 『AI と著作権』136 頁〔横山〕)。
ロクラクⅡ事件の場合、サービス利用者は「サービス提供者が準備(放送をアンテナで受信)した放送番組の中から複製したい番組を選択する」という限定された行為しか行うことができませんでした。その意味で、複製行為に対するサービス利用者の関与の程度は低かったと言えます7 奥邨弘司「まねきTV・ロクラクⅡ事件最判後の著作権の間接侵害論」パテント64 巻11 号(2011)92 頁。
一方、AIの場合、AI利用者はAI生成物の生成(複製)に際して様々な行為(プロンプトの工夫や、生成に際しての試行錯誤等)を行うことが可能であり、当該AI利用者の行為の内容によって、類似AI生成物の生成の可能性が大きく異なります。
したがって、AI利用者が既存の著作物の類似物の生成を意図して生成 AI に詳細なプロンプト入力するなどの指示を行ったり、既存著作物を生成AIに入力してその類似物を生成(所謂i2i)した場合には、AI利用者の行為主体性が認められる可能性が高まることになります。
(ⅲ)行為主体性の判断に際してAIの提供態様(ローカルor SaaS)は考慮すべきか
行為主体性を判断するための要素として、AIの提供態様(ローカルor SaaS)は考慮されるべきでしょうか。
「AIの提供態様(ローカルor SaaS)」とは、AI開発者が開発したAIをAI利用者に提供し、AI利用者が自らの手元で当該AIを利用して「AI生成物の生成・利用」を行うパターン(ローカル、図64)か、AI開発者・AI提供者からAI利用者に対して、クラウド上のサービスとしてAIを提供しているパターン(SaaS、図65)かという問題です。

図64

図65
両パターンの差異は、実際に類似AI生成物を生成したAIモデル(学習済みモデル)を、AI開発者とAI利用者のどちらが物理的に管理・支配しているかという点です。
一般的に言って、類似物を生成する装置(生成AIの場合、「装置」とは、ソフトウェアとしての学習済みモデルと、当該学習済みモデルがインストールされているコンピューターの組み合わせを指します)を物理的に管理・支配していることは行為主体性を認める要素に該当します。
もっとも、ロクラクⅡ事件最判は、単に「物理的に複製機器をサービス事業者が管理・支配していること」ではなく、「複製機器に対する入力行為がサービス事業者の管理・支配下で行われていること」を重視してサービス事業者の行為主体性を判断しています8同最判は「その管理、支配下において、放送を受信して複製機器に対して放送番組等に係る情報を入力する行為」を「複製機器を用いた放送番組等の複製の実現における枢要な行為」と評価している。 。
AIへの既存著作物の「入力」行為には、①開発・学習段階におけるAI開発者における既存著作物を用いたAIモデルの学習行為と、②生成・利用段階におけるAIユーザのAIへのプロンプトや既存著作物の入力行為の2つがあります。
そして、当該「入力行為」が誰の管理・支配下で行われているかは、ローカルでもSaaSでも大差ない(いずれのパターンでも①はAI開発者の管理・支配下で行われ、②はAI利用者の管理・支配下で行われている)ことからすると、AIの提供態様(ローカルor SaaS)は行為主体性を認めるに際しての重要な判断要素ではないと考えます。
(ⅳ)具体的判断方法
行為主体性の判断はあくまで規範的な判断である以上、類似AI生成物生成に際して上記2つの要素(① AI開発者が学習対象著作物の類似AI生成物を高頻度で生成するような学習行為を行ったか、及び② AI利用者が類似AI生成物の生成のための積極的行為を行ったか)がどの程度寄与したかを総合的に考慮すべきと考えます。
たとえば、①が肯定され(たとえば、AI開発者が過学習を行ったことにより非常に高頻度で侵害物が生成される状態)かつ、②が否定される(たとえば、AI利用者が抽象的な指示しか行っていない)場合には、AI開発者のみに行為主体性が認められることになるでしょう。
一方、①の寄与度がそれほど高くない(たとえば、AI開発者が作風模倣目的の学習を行っているが、実際に侵害物が生成される可能性はそれほど高くない)一方で、②の寄与度が高い(たとえば、AI利用者が繰り返し指示を行って侵害物を生成した)場合には、AI利用者のみに行為主体性が認められることになると考えます9 横山先生も同様に「依拠の主因」という観点からではあるが、AI 開発者の関与の強さとAI 利用者の関与の強さを総合的に考慮して行為主体性を判断しているように思われる(『AI と著作権』133 頁〜135 頁)。。
以下さらに検討を進めます。
① 「行為主体」が競合することはありうるか
類似AI生成物の生成主体の判断に際して、AI開発者の学習行為の態様とAI利用者の生成行為の積極性を総合的に考慮するという本書の立場を前提とすると、「AI開発者が類似AI生成物の出力頻度が高いAIを生成し、かつAI利用者が当該AIを利用して類似AI生成物生成に積極的な関与をした」というケースであれば、AI開発者とAI利用者のいずれもが行為主体に該当すると考えます10『AI と著作権』(横山)134 頁 。
② 「行為主体」が存在しない場合はありうるか
類似AI生成物の生成主体の判断に際して、AI開発者の学習行為の態様とAI利用者の生成行為の積極性を総合的に考慮すべきだと説明しましたが、それを前提とした場合、以下のような事例の行為主体性をどのように考えるべきでしょうか。
【事例】
・ AI開発者が汎用的なモデル作成のために大規模なデータで学習をしたが、当該大規模な学習用データの中に著作物Aが1枚含まれていた
・ AI利用者は著作物Aのことを知らず、類似AI生成物Aを生成するための積極的な行為を一切行わず、抽象的な指示しかしなかった。
・ しかし、学習対象著作物Aの類似AI生成物Aが生成された。
つまり、AI開発者もAI利用者も積極的な関与をしていないが、結果的に類似AI生成物が生成された場合の行為主体性をどう考えるかです11依拠性について全面肯定説を採用する場合、このケースでも依拠性(AI による依拠)は肯定されることになる。一方、依拠性について限定肯定説を採用する場合、このケースでは依拠性がない可能性がある。 。
この点については、行為主体性の判断においては「依拠の主因」に着目するのが有意義であるとしたうえで12 『AI と著作権』(横山)132 頁、「膨大な数の著作物を無差別的に学習して開発されたAIは,既存作品と類似する生成物を出力する蓋然性が低いが,それでも,既存作品と類似の生成物が出力される可能性があることは否定できない。この場合に依拠が認められるかについては議論があるものの(中略)、学習に使用された既存作品と類似の生成物が現に出力された以上,依拠を認めざるを得ない場合もあると思われる。かりに依拠が認められたとした場合に,ユーザが既存作品を示唆しない一般的、概括的な指示しか与えていないとすれば、依拠の主因はAIの学習方法にあるといわざるを得ないから.サービス提供者が出力の主体と評価されることになる」とする説(強調部筆者)があります13『AI と著作権』(横山)134 頁 。
この考え方のように、行為主体性の判断において「依拠の主因」に着目すると、確かにこのような結論になるでしょう。
しかし、依拠性と行為主体性は別の論点です。
依拠性は、独自創作の保護の観点からどの範囲で著作権侵害が成立するかの問題であるのに対して、行為主体性の問題は、当該著作権侵害を行った行為主体(差止請求の対象)を誰と評価するかの問題です。
したがって、学習用データに複製対象著作物が含まれていたことを根拠に依拠性(AIによる依拠)が認められたとしても、当該著作権侵害について誰が行為主体と評価されるか(行為主体として責任を負うか)は別途検討する必要があると考えます。
そして、複製の関与者がいる場合においての行為主体性の判断に関しては、ロクラクⅡ事件において、最高裁が一般論として示したように,「複製の対象,方法,複製への関与の内容,程度等の諸要素」を考慮して,誰が当該著作物の複製をしているといえるかを判断することとなります。
ロクラクⅡ事件においては、「複製の対象,方法,複製への関与の内容,程度等の諸要素」として、サービス提供者が、の管理,支配下において,放送を受信して複製機器に対して放送番組等に係る情報を入力していたことが重視され、サービス事業者の行為主体性が肯定されました。
先ほど示した事例のように「AI開発者が大規模な学習を行って開発したAIを利用し、AI利用者が概括的な指示しか行わなかったが、結果的に学習対象著作物の類似AI生成物が生成された場合」における「複製の対象,方法,複製への関与の内容,程度等の諸要素」について考えてみましょう。
この場合、「複製の対象」は学習用データセットに含まれていた既存著作物ですが、その「複製の方法」は「対象著作物を含む学習用データセットを用いて大規模な学習を行ってAIを作成し、AI利用者に提供したところ、AI利用者の概括的な指示により学習用データセットの中に含まれている対象著作物と類似するAI生成物が生成された」というものです。
もちろん、実際に類似AI生成物が生成されている以上、このような方法により複製が行われる可能性は0ではありませんが、技術的にこのようなことが生じる可能性は極めて低いと思われますし、AI開発者が意図的にこのような複製行為を行うことは不可能です。
ロクラクⅡ事件のように、事業者が「対象となる放送番組を受信して複製機器に対して放送番組等に係る情報を入力」している場合、利用者が対象番組を選択しさえすれば、100%当該放送番組を利用者が複製及び視聴することができますが、それと比較すると、先ほどの事例に関しては「複製の方法」において事業者の果たしている役割はかなり低いと評価できると考えます。
また、「複製への関与の内容、程度」についても、AI開発者が行った行為は「対象著作物を含む学習用データセットを用いて大規模な学習を行ってAIを生成した」というところまでであって、AI生成物の生成を指示しているのはAI利用者です。
以上のことから、先ほどの事例のように「AI開発者が大規模な学習を行って開発したAIを利用し、AI利用者が概括的な指示しか行わなかったが、結果的に学習対象著作物の類似AI生成物が生成された場合」においては、複製の対象,方法,複製への関与の内容,程度等の諸要素を考慮すると、AI開発者もAI利用者もその行為主体性が否定されると考えます。
したがって、さきほどの事例では、依拠性は認められますが、著作権侵害の行為主体が存在せず、著作権侵害の責任を負うべき主体はいないという結論になります。
(ⅴ) 「考え方」の記載内容
類似AI生成物の「生成」(複製)における行為主体性について、考え方36頁ではまず以下のように説明し、原則を確認しています。
AI 生成物の生成・利用が著作権侵害となる場合の侵害の主体の判断においては、物理的な行為主体である当該 AI 利用者が著作権侵害行為の主体として、著作権侵害の責任を負うのが原則である。
次に、考え方37頁では「AI利用者のみならず、生成 AI の開発や、生成 AI を用いたサービス提供を行う事業者が、著作権侵害の行為主体として責任を負う場合があると考えられる。」とし、次のように記載しています14 AI 開発者・提供者の規範的行為主体性について同様の結論を採る学説として本山雅弘「生成AI による著作物の利用主体―生成AI による類似表現物の作出行為における利用行為の成否とその主体―」SOFTIC Law Review1巻2号(2024)18 頁。。15 ただし、「考え方」の同記載については「この部分はAI 事業者が著作権侵害の行為主体とされる趣旨の記載であるが、生成AI の開発事業者やサービス提供事業者が、生成・利用段階での複製や翻案の行為の主体となり得るケースは、上記①②の事情があったとしても、実際には限定されると思われる。上記①から④の事情は、むしろ、侵害の主体であるAI 利用者の幇助者としてAI 事業者が共同不法行為責任を負うべき場合(「考え方」37 頁注50)
における、過失の有無(注意義務違反)についての考慮要素であると考えるべきであろう。」という指摘もなされている(髙部眞規子「著作権侵害訴訟における主張立証と「AI と著作権に関する考え方」について」ジュリスト1599 号(2024)83 頁)。
① ある特定の生成 AI を用いた場合、侵害物が高頻度で生成される場合は、事業者が侵害主体と評価される可能性が高まるものと考えられる。
② 事業者が、生成 AI の開発・提供に当たり、当該生成 AI が既存の著作物の類似物を生成する蓋然性の高さを認識しているにも関わらず、当該類似物の生成を抑止する措置を取っていない場合、事業者が侵害主体と評価される可能性が高まるものと考えられる。
③ 事業者が、生成 AI の開発・提供に当たり、当該生成 AI が既存の著作物の類似物を生成することを防止する措置を取っている場合、事業者が侵害主体と評価される可能性は低くなるものと考えられる。
④ 当該生成 AI が、事業者により上記の(2)キ③の手段を施されたものであるなど侵害物が高頻度で生成されるようなものでない場合においては、たとえ、AI 利用者が既存の著作物の類似物の生成を意図して生成 AI にプロンプト入力するなどの指示を行い、侵害物が生成されたとしても、事業者が侵害主体と評価される可能性は低くなるものと考えられる。
「考え方」の上記記載は、類似AI生成物の生成主体の判断に際しては、「AI開発者が、学習対象著作物の類似AI生成物を高頻度で生成するような学習行為を行ったか」と「AI利用者が類似AI生成物の生成のための積極的行為を行ったか」を総合的に考慮すべきだという本書の立場に近いものと評価できます。
上記「考え方」における「侵害物が高頻度で生成される場合」や「当該生成 AI が既存の著作物の類似物を生成する蓋然性の高さ(がある場合)」とは、具体的には、AI開発者が、学習対象著作物をそのまま出力させるような学習(表現出力目的学習)や、作風模倣目的の学習を行っていっている場合などが該当します16『AI と著作権』133 頁〔横山〕 17 「考え方」29 頁には「こうした海賊版等の権利侵害複製物を掲載するウェブサイトからの学習データの収集は、少量の学習データを用いて、学習データに含まれる著作物の創作的表現の影響を強く受けた生成物が出力されるような追加的な学習を行うことを目的として行われる場合もあると考えられる。(中略)(この場合)これに加えて、生成・利用段階においては、これにより追加的な学習を経た生成AI が、当該既存の著作物の創作的表現を含む生成物を生成することによる、著作権侵害の結果発生の蓋然性が認められる場合があると考えられる。そのため、海賊版等の権利侵害複製物を掲載するウェブサイトからの学習データの収集を行う場合等に、事業者において、このような、少量の学習データに含まれる著作物の創作的表現の影響を強く受けた生成物が出力されるような追加的な学習を行う目的を有していたと評価され、当該生成AI による著作権侵害の結果発生の蓋然性を認識しながら、かつ、当該結果を回避する措置を講じることが可能であるにもかかわらずこれを講じなかったといえる場合は、当該事業者は著作権侵害の結果発生を回避すべき注意義務を怠ったものとして、当該生成AI により生じる著作権侵害について規範的な行為主体として侵害の責任を問われる可能性が高まるものと考えられる。」という記載があるが、これも「侵害物が高頻度で生成される場合」の一類型である。。
一方、AI開発者において、そのような特殊な学習を行っていなかったり、当該生成 AI が既存の著作物の類似物を生成することを防止する技術的措置をとっている場合には、「類似AI生成物の出力頻度」が高いとは言えないでしょう。
なお、考え方28頁には「AI 開発事業者や AI サービス提供事業者が、ウェブサイトが海賊版等の権利侵害複製物を掲載していることを知りながら、当該ウェブサイトから学習データの収集を行ったという事実は、これにより開発された生成 AI により生じる著作権侵害についての規範的な行為主体の認定に当たり、その総合的な考慮の一要素として、当該事業者が規範的な行為主体として侵害の責任を問われる可能性を高めるものと考えられる。」という記載があります。
当該記載は、海賊版等権利侵害複製物の開発・学習段階における利用が著作権侵害であると指摘するものではなく、あくまで、生成・利用段階において学習に用いられた海賊版と同一・類似のAI生成物が生成された場合に、AI開発者またはAI提供者が当該生成・利用について行為主体として責任を問われる場合があるという指摘です。
筆者としては、ロクラクⅡ事件の基準を前提とすると、「ウェブサイトが海賊版等の権利侵害複製物を掲載していることを知りながら、当該ウェブサイトから学習データの収集を行った」という認識を有しているだけで、表現出力目的や作風再現目的の学習を行っていない場合にも、AI開発者またはAI提供者の侵害主体性が認められるかは、かなり疑問を持っています。
考え方が「一要素として」等かなり慎重な書きぶりをしているのは、そのためではないかと思われますが、この論点については、小委員会内でも相当議論がなされているので、AI開発者等としては海賊版を学習用データとして収集・利用することにより著作権侵害主体としての責任を問われるリスクがあると考えるべきでしょう。
(ウ) まとめ
以上をまとめたのが以下の表10です。

表10
(エ) 依拠性と行為主体性の関係
そして、冒頭で記載した10個のパターンについて、類似AI生成物の「生成」における依拠性と行為主体性を整理した表が以下となります18パターン1、6においては類似AI 生成物の「生成」が行われていないので対象外 19 依拠性について「考え方」が採用する限定肯定説を前提とする。(表11)。

表11
ウ 権利制限規定
仮に類似AI生成物の「生成」について、既存著作物との類似性・依拠性を満たしたとしても、権利制限規定の適用があれば著作権侵害には該当しません。
具体的には、私的使用目的の複製(法第 30 条第1項)、学校その他の教育機関における複製等(法第 35 条)、また、企業・団体等の内部において、生成物を生成することについては、生成物が既存著作物と類似している検討過程における利用(法第 30 条の 3)の適用が考えられます20「考え方」38 頁 。
また、引用(法第 32 条第1項)の適用も考えられます。
もっとも、「生成」についての権利制限規定の適用有無に際しては、当該「生成」の行為主体ごとに判断をする必要があります。
たとえば、個人のAI利用者が「生成」の行為主体に該当する場合には、私的使用目的の複製(法第 30 条第1項)が適用されることが多いと思われます。一方、AI開発者が行為主体と判断される場合は、法30条1項の「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用することを目的とする」こと、及び「その使用する者が複製する」という要件を満たさないため、私的使用目的の複製(法第 30 条第1項)は適用されません21自炊代行事件(知財高裁平成26 年10 月22 日判タ1414 号227 頁)参照 。
また、法47条の5第1項1号又は第2号についても要件を満たせば適用可能と考えます。考え方22頁には、「RAG等による回答の生成に際して既存の著作物を利用することについて、法第 47 条の5第1項第1号又は第2号の適用があることが考えられる。」との記載がありますが、法47条の5第1項1号又は2号の適用はRAGにおける回答生成に限られるものではないからです。
エ 故意・過失
類似AI生成物の「生成」について、①依拠性(AI利用者による依拠あるいはAIによる依拠)が認められ、かつ②AI開発者またはAI利用者のいずれか(あるいはいずれも)が行為主体に該当し、さらに③どの権利制限規定も適用されない場合、当該著作権侵害の行為主体に対して権利者は差止請求を行うことができます。
一方、当該著作権侵害の行為主体に対して権利者が損害賠償請求を行うためには、当該行為主体に故意・過失が認められる必要があります。
(ア) AI利用者が「生成」の行為主体の場合
例えば、AI利用者の行為態様として、AI利用者が既存の著作物の類似物の生成を意図して生成 AI にプロンプト入力するなどの指示を行ったり、既存著作物を生成AIに入力してその類似物を生成(所謂i2i)した場合です。
この場合、AI利用者に著作権侵害の故意・過失が認められることは明白です。
(イ) AI開発者が「生成」の行為主体の場合
例えば、AI開発者が学習対象著作物をそのまま出力させるような学習(表現出力目的学習)を行っている場合です。この場合は、AI開発者に著作権侵害の故意・過失が認められることは明白です。
脚注一覧
- 1『AI と著作権』129 頁〔横山〕、髙部眞規子「著作権侵害訴訟における主張立証と「AI と著作権に関する考え方」について」ジュリスト1599 号(2024)82 頁
- 2ちなみに、ロクラクⅡ事件最判はユーザが複製主体となるかについて言及していない。もっとも、同最判の原審(知財高判平成21 年1月27 日(平成20 年ネ10055 号・10069 号))は、サービス提供者ではなく、ユーザが複製の主体になると判断している(『AI と著作権』136 頁〔横山〕)。
- 3横山・前掲注86)131 頁
- 4金子敏哉「テレビ番組の録画・転送に係るサービスと複製の主体(ロクラクⅡ上告審)」速報判例解説vol. 9・知
的財産法No. 7(2011) - 5本山先生は、「従来の下級審も含めた規範的利用主体論に関する一連の解釈に照らすならば、この関係(筆者注:関与者の行為(サービス提供)がなければ物理的な利用主体の利用行為も生じ得ない関係)にも、関与者のサービス提供が例外なく一義的に物理的利用主体の無許諾利用行為を導く場合(筆者注:例としてロクラクⅡ最判やクラブ・キャッツアイ事件最高裁判決(最三小判昭和63 年3月15 日民集42 巻3号199 頁))と、関与者のサービス提供が物理的利用主体の無許諾利用行為の蓋然性を導くに過ぎない場合(筆者注:例としてTV ブレイク事件高判(知財高判平成22 年9月8日判時2115 号102 頁))との二種類が認められるところであり、前者の場合には関与者の規範的利用主体性がそのまま肯定される一方で、後者の場合に規範的利用主体が肯定されるには、関与者の当該関与の態様においてさらなる事情が必要となっているように思われる。」としたうえで、「類似表現物の無許諾作出に特化した生成AI の場合を除き、汎用性ある生成AI の開発者・提供者には、AI ユーザーの類似表現物の作出行為について肯定される無許諾利用行為との関係で、当該生成AI サービスの提供態様とは無関係に一律に、その規範的利用主体性が肯定される可能性は低いものと解されよう。」とする(本山雅弘「生成AI による著作物の利用主体―生成AI による類似表現物の作出行為における利用行為の成否とその主体―」SOFTIC Law Review1巻2号(2024)18 頁〜19 頁)。
- 6『AI と著作権』136 頁〔横山〕
- 7奥邨弘司「まねきTV・ロクラクⅡ事件最判後の著作権の間接侵害論」パテント64 巻11 号(2011)92 頁
- 8同最判は「その管理、支配下において、放送を受信して複製機器に対して放送番組等に係る情報を入力する行為」を「複製機器を用いた放送番組等の複製の実現における枢要な行為」と評価している。
- 9横山先生も同様に「依拠の主因」という観点からではあるが、AI 開発者の関与の強さとAI 利用者の関与の強さを総合的に考慮して行為主体性を判断しているように思われる(『AI と著作権』133 頁〜135 頁)。
- 10『AI と著作権』(横山)134 頁
- 11依拠性について全面肯定説を採用する場合、このケースでも依拠性(AI による依拠)は肯定されることになる。一方、依拠性について限定肯定説を採用する場合、このケースでは依拠性がない可能性がある。
- 12『AI と著作権』(横山)132 頁
- 13『AI と著作権』(横山)134 頁
- 14AI 開発者・提供者の規範的行為主体性について同様の結論を採る学説として本山雅弘「生成AI による著作物の利用主体―生成AI による類似表現物の作出行為における利用行為の成否とその主体―」SOFTIC Law Review1巻2号(2024)18 頁。
- 15ただし、「考え方」の同記載については「この部分はAI 事業者が著作権侵害の行為主体とされる趣旨の記載であるが、生成AI の開発事業者やサービス提供事業者が、生成・利用段階での複製や翻案の行為の主体となり得るケースは、上記①②の事情があったとしても、実際には限定されると思われる。上記①から④の事情は、むしろ、侵害の主体であるAI 利用者の幇助者としてAI 事業者が共同不法行為責任を負うべき場合(「考え方」37 頁注50)
における、過失の有無(注意義務違反)についての考慮要素であると考えるべきであろう。」という指摘もなされている(髙部眞規子「著作権侵害訴訟における主張立証と「AI と著作権に関する考え方」について」ジュリスト1599 号(2024)83 頁)。 - 16『AI と著作権』133 頁〔横山〕
- 17「考え方」29 頁には「こうした海賊版等の権利侵害複製物を掲載するウェブサイトからの学習データの収集は、少量の学習データを用いて、学習データに含まれる著作物の創作的表現の影響を強く受けた生成物が出力されるような追加的な学習を行うことを目的として行われる場合もあると考えられる。(中略)(この場合)これに加えて、生成・利用段階においては、これにより追加的な学習を経た生成AI が、当該既存の著作物の創作的表現を含む生成物を生成することによる、著作権侵害の結果発生の蓋然性が認められる場合があると考えられる。そのため、海賊版等の権利侵害複製物を掲載するウェブサイトからの学習データの収集を行う場合等に、事業者において、このような、少量の学習データに含まれる著作物の創作的表現の影響を強く受けた生成物が出力されるような追加的な学習を行う目的を有していたと評価され、当該生成AI による著作権侵害の結果発生の蓋然性を認識しながら、かつ、当該結果を回避する措置を講じることが可能であるにもかかわらずこれを講じなかったといえる場合は、当該事業者は著作権侵害の結果発生を回避すべき注意義務を怠ったものとして、当該生成AI により生じる著作権侵害について規範的な行為主体として侵害の責任を問われる可能性が高まるものと考えられる。」という記載があるが、これも「侵害物が高頻度で生成される場合」の一類型である。
- 18パターン1、6においては類似AI 生成物の「生成」が行われていないので対象外
- 19依拠性について「考え方」が採用する限定肯定説を前提とする。
- 20「考え方」38 頁
- 21自炊代行事件(知財高裁平成26 年10 月22 日判タ1414 号227 頁)参照
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