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他人のサイトにリンクを張るだけで著作権法違反になるのか

杉浦健二 杉浦健二

他サイトのURLリンクを張ったら「著作権法違反なので削除せよ」とクレームを受けるケースがあるようです。

他サイトにリンクを張るだけで著作権法違反になることはあるのでしょうか?かんたんに整理しておきます。

■答えは「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」に書いてある

経済産業省は,ネットショッピングやデジタルコンテンツをめぐる法的問題について「電子商取引及び情報財取引等に関する準則(以下準則)」を発行しており,たいへん分かりやすいです。

電子商取引及び情報財取引等に関する準則(平成28年6月経済産業省 )

準則「Ⅱ-2他人のホームページにリンクを張る場合の法律上の問題点」によると,基本的な考え方は以下のとおりです。

・インターネット上において、会員等に限定することなく無償で公開した情報を第三者が利用することは、著作権等の権利の侵害にならない限り、原則自由

・ただしリンク先の情報を
ⅰ)不正に自らの利益を図る目的により利用した場合
ⅱ)リンク先に損害を加える目的により利用した場合
など特段の事情のある場合は例外的に不法行為責任が問われる可能性がある

■リンクを張っても原則として著作権法違反にはならない

リンクを張ると,自サイト(リンク元サイト)内のURL等をクリックすれば他サイト(リンク先サイト)のコンテンツが閲覧できるようになります。
他サイトのウェブページのデータは,他サイトから閲覧者のコンピュータへ直接送信されているため,自サイト(リンク元サイト)には送信されず蓄積もされないわけです。つまり他サイトにリンクを張っても,公衆送信(著作権法23条1項)や複製(同21条)が行われるわけではありません。したがってリンクを張る行為自体は著作権法違反とはならないのが原則です。

ちなみに他サイトの画像に自サイトから直接リンクを張る行為(画像直リンク)は他人のサーバに負荷を与える等の理由で問題視されますが,著作権法上は適法です。

【参考】MERYやWELQ問題を受けて押さえておきたい、画像直リンクと画像無断使用の違法性

■例外的に著作権法違反となる場合もある

ただし著作権侵害がされている違法なウェブサイトにリンクを張った場合は,例外的に著作権法違反となり得ます。
この点を判断した有名な裁判例としてロケットニュース24事件がありまして,
サイト「ロケットニュース24」がニコニコ動画に違法にアップされていた動画にリンクを張った件につき,裁判所はリンクを張る行為は公衆送信権侵害とはならないことを示したうえで,例外的に著作権侵害となりうるケースについて以下のとおり示唆しています。

ところで,原告の主張は,被告の行為が「送信可能化」そのものに当たらないとしても,「ニコニコ動画」にアップロードされていた本件動画にリンクを貼ることで,公衆送信権侵害の幇助による不法行為が成立する旨の主張と見る余地もある。

しかし,「ニコニコ動画」にアップロードされていた本件動画は,著作権者の明示又は黙示の許諾なしにアップロードされていることが,その内容や体裁上明らかではない著作物であり,少なくとも,このような著作物にリンクを貼ることが直ちに違法になるとは言い難い。
そして,被告は,前記判断の基礎となる事実記載のとおり,本件ウェブサイト上で本件動画を視聴可能としたことにつき,原告から抗議を受けた時点,すなわち,「ニコニコ動画」への本件動画のアップロードが著作権者である原告の許諾なしに行われたことを認識し得た時点で直ちに本件動画へのリンクを削除している。
このような事情に照らせば,被告が本件ウェブサイト上で本件動画へリンクを貼ったことは,原告の著作権を侵害するものとはいえないし,第三者による著作権侵害につき,これを違法に幇助したものでもなく,故意又は過失があったともいえないから,不法行為は成立しない。
ロケットニュース24事件・大阪地裁平成25年6月20日判決

つまり,著作権侵害コンテンツにリンクを張った場合でも
・著作権者の許諾なしにアップされていることが明らかではない場合
・違法なサイトであることを認識し得た時点で直ちにリンクを削除した場合
であれば著作権侵害とはならないと示しています。

逆に言えば
・他サイトのコンテンツが違法アップロードされたものと知りながらリンクを貼った場合
・著作権者から指摘がきた後もリンクを削除せず張り続けた場合

であれば,公衆送信権侵害の幇助としてリンクを張る行為が例外的に著作権法違反となりうる可能性があるといえます。

■リンクを張ることが不正競争行為にあたる場合も

ほかに
▼自社サイトを有名企業の関連サイトであるとの誤解を与えて利益を得ようとして「関連企業情報はこちら」として有名企業のサイトに無断でリンクを張った場合
有名企業サイトの企業ロゴに画像直リンクを張って、自サイトが有名企業の関連サイトと見せかけた場合
などは信用毀損に基づく不法行為責任や不正競争防止法違反となり得ます。

また
他人のウェブページや著作物であるにもかかわらず,自サイトの著作物であるように表示した場合
も著作者人格権の侵害(著作権法18条以下)となる可能性が生じます(準則ii.14および中山信弘「著作権法〔第2版〕」252頁)。

冒頭のツイッターで言及されていた事例に関連して言えば,
「以下の企業はブラック企業です」として,ブラック企業ではない会社のサイト(この判断は困難ですが)にリンクを張る行為は,ブラック企業の定義は様々であり侮辱罪にあたるとはいえず違法と評価できない可能性が高いと言えます。

これに対し反社会的団体が善良な企業のサイトに「自社の関連企業である」として無断でリンクを張ったような場合は,企業の名誉や信用を毀損する行為として民事上の不法行為責任のほか,刑事上も名誉毀損罪や信用毀損罪等が成立しうる可能性が残ります。

以上より,

リンクを張る行為自体が著作権法違反となることは原則ない。ただし
・違法サイトへリンクを張った場合で,権利者から抗議を受けた後もリンクを外さなかった場合
・リンクを張ることで閲覧者にサイトの内容を誤解させた結果,不正な利益を得ようとしたり,リンク先に損害を与えようとした場合

は例外的に違法となり得る

と覚えておけばよいです。

ネットで公開されているサイトに情報を載せるというのは、世界中に向けて情報を発信していることを意味するわけで、他人にリンクされても文句は言えないのが原則です。見られて困る情報ならば会員限定など閲覧制限をかけるべきであり,リンクされて困る情報ならはじめから公開のサイトで掲載するべきではありません。「無断リンク禁止」と書いても,少なくとも法的には無意味です。(弁護士杉浦健二)

 

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