ブログ/ BLOG

  1. ホーム
  2. ブログ
  3. インターネット
  4. MERYやWELQ問題を受けて押さえておきたい、画像直リンクと画像無断使用の違法性

インターネット 知的財産 著作権

MERYやWELQ問題を受けて押さえておきたい、画像直リンクと画像無断使用の違法性

杉浦健二 杉浦健二


【産業用AI開発の知財・法務セミナーのご案内】

産業用AI開発の知財・法務セミナーを2018年5月9日に東京大手町で開催いたします。
経済産業省のAI・データ契約ガイドライン検討会委員も務めた柿沼による、実務にすぐに役立つセミナーです。

過去の参加者の声や申込、詳細はこちらのページからどうぞ!

logo-03 DeNAのMERYやWELQ問題の影響か、ここ数日当ブログの著作権に関する記事のPVが急に増えています。 ヘルスケアを扱うDeNAのキュレーションサイトWELQの問題勃発後、同じくDeNAが運営するファッション系キュレーションサイトMERYでも8割以上の記事が削除されました。 (ねとらぼ: DeNAの「WELQ」問題、唯一残った「MERY」も8割超の記事を非公開に) DeNA広報部は、MERYの記事大量削除について「他サイトやブログの文章・画像を転用している可能性のある記事や、公序良俗に反するなど利用規約に違反している可能性のある記事」を削除したと回答しています。 (withnews:DeNA、人気サイト「MERY」の記事も大量削除「無断転用した可能性」) ねとらぼの上記記事によれば、MERYでは他サイトの画像を用いる際、以前は画像直リンクを行っていたとのこと。 他サイトの画像を自サイトで無断で直接リンク=画像直リンクしても問題はないのか?画像直リンク(原則適法)と画像の無断使用(原則違法)の違いについて解説します。

■画像直リンクと画像無断使用の違い

画像直リンクとは画像を自分のサーバ内にアップロード(複製)せず、リンク元のサイトにある画像のURLを直接呼び出して表示すること*直リンクした画像 たとえば上の画像は一見するとただ画像を貼っているようですが、そのソースを見ると %e5%9b%b32 と画像が保存されているサイトが当事務所サイト(storialaw.jp)ではなくリンク先のサイト(copyrights-lab.com/)になっています。他サイトの画像に直接リンクを貼って呼び出しているだけなのですね。 *直リンクの定義は複数ありますが、本投稿ではこの定義を用います(imgタグに画像のURLを記述する場合を指します)   これに対して画像無断使用は、他サイトの画像を無断で自分のサーバにアップロード(複製・送信可能化)して公開すること当サイトのサーバに保存された画像 一見同じ画像ですが、ソースを見ると %e5%9b%b31 と当事務所サイト(storialaw.jp)のサーバー内に保存されている画像がアップされたことがわかります(画像はうちで飼ってるワンコです)。 このように「画像の無断使用」とは他人のサイトにある画像を自分のサーバに保存(著作権法上の複製)をして自分のサイトで公開(同法上の自動公衆送信(送信可能化))する場合を指します。 無断使用の場合は,他人が著作権を有している画像について無断で著作権侵害行為(複製や送信可能化行為)を行っていますから引用要件(著作権法32条)を満たしていないと著作権法違反。使用差止や損害賠償の問題になります。 著作権フリー画像と思ってもフリーじゃない例があるのはこちらの過去記事を参照。 (過去記事 著作権フリーの写真だと思って使用したら20万円の損害賠償になった実例

■画像直リンクは著作権法上は"原則"問題とならない

一方の画像直リンクの場合、日本の著作権法上は原則として違反になりません。 画像直リンクは、画像を自分のサーバ内にアップロード(複製)せず、リンク元のサイトにある画像のURLを直接呼び出して表示しているためです。 著作権法違反を問おうとする場合、相手がこちらの画像について著作権侵害行為すなわち「複製」や「送信可能化」行為をしてなければならないのですが、直リンクはリンク元の画像を自サーバ内で複製しているわけではないので「複製」にも「送信可能化」行為にも該当しないのです。 ただ直リンクであっても他人の画像について自分が著作権者であると表示したような場合は著作者人格権侵害(氏名表示権侵害、著作権法19条)の問題は別途生じ得ます。

■MERYは巧妙に著作権法違反を回避していた可能性も

MERYは他人の画像を直リンクしていたとのことでしたので、画像の「複製」も「送信可能化」もしておらず、また(小さいフォントで)画像のリンク元も記載していたので著作者人格権(氏名表示権)の侵害もしていない状態にあった可能性があります(リンク元を記載すれば「氏名表示」となるのかの問題は残ります)。 他サイトの画像を保存してMERYのサーバにアップすれば画像の無断使用=著作権法違反の問題になるため、MERYは画像を他サイトから直リンクすることで巧妙に著作権法違反を回避していた可能性があります。

■画像直リンクでも違法になるケースはある

しかしながら無断で他人のサイトの文章を丸パクリしたような著作権侵害サイト内で画像直リンクを行っている場合など、不正に自らの利益を図る目的があったような場合には、著作権侵害とならないとしても一般不法行為となる可能性があります。 経済産業省が公表している「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」でも
Ⅱ-2 他人のホームページにリンクを張る場合の法律上の問題点 インターネット上において、会員等に限定することなく、無償で公開した情報を第三者が利用することは、著作権等の権利の侵害にならない限り、本来自由である。 しかし、リンク先の情報をⅰ)不正に自らの利益を図る目的により利用した場合、又はⅱ)リンク先に損害を加える目的により利用した場合など特段の事情のある場合に、不法行為責任が問われる可能性がある。経済産業省の電子商取引及び情報財取引等に関する準則P117)
と記載しており、リンクを貼る行為が一般不法行為となるケースについて言及しています。 冒頭のねとらぼやwithnewsの記事によれば、MERYは他サイトの文章を無断引用したり公序良俗に反している可能性があった記事を自ら削除したとのことでした。 無断引用や公序良俗違反の内容が書かれた記事のなかで画像直リンクを行うことで、画像リンク先とリンク元の関係が誤認混同されたり、画像リンク先の名誉や信用が毀損されたりして何らかの損害が発生した場合は、著作権侵害とは別の問題として、一般不法行為責任を問える可能性が出てきます。 *ちなみに2016年9月8日、欧州司法裁判所は違法にアップされたコンテンツにリンクを貼る行為自体が著作権侵害になり得る旨の判決を出しています(時事ドットコム)。 この判決は「違法にアップロードされたコンテンツ」に対してリンクを貼ったケースに関する判決であり今回の画像直接リンク問題(あくまで正当な権利者がアップした画像に直接リンクを貼ったケースを想定)と全く同一ではないので注意(日本でも同様の事例が問題になった判例があります。ロケットニュース24事件

■画像直リンクされた際に取るべき対策

そもそも画像直リンクが嫌われる理由は ・他人のサーバに負荷を与える ・他人のふんどしで相撲を取るという悪イメージ ・なんだか気分が悪い という点にあると考えます。画像素材提供サイトを中心として「画像直リンク禁止」と書いてあるサイトが少なくないのも上記の点が大きいと思われます。 画像直リンクをされた際の対策としては ・リンクした相手にリンク削除請求を行う ・リンクされた画像を別の画像に入れ換える (参考:MERYとか言う羊狩りを始めようか?・サイトを直リンクされない仕様にする (参考:コピーコンテンツ対策.htaccessで直リンク禁止しリダイレクトで対応) などが考えられます。

■直リンクだろうが画像使用だろうが出典明記は必須

以上のとおり、画像直リンク自体を著作権法の違反として追及することは原則は難しいわけですが、なにより他人のサーバにある画像を、あたかも自分が著作権者であるかのように直リンクするのは倫理上もマナー上もいかがなものかと感じます。 違法なページに画像直リンクされた場合は別途一般不法行為となり得ることは上記のとおりです。 直リンクだろうが画像の使用だろうが、本来は出典を明記したうえで行うべきもの。 直リンクであっても、この内容で画像直リンクされたら相手が嫌だろうなと思う場合は事前に承諾をとっておくのが(著作権法上は承諾は必要ないとしても)結局は無難であろうと考える次第です(弁護士杉浦健二)。   (関連記事)著作権フリーの写真だと思って使用したら20万円の損害賠償になった実例 (関連記事)ネット画像を無断使用した場合、著作権者の言い値を支払う必要があるのか   →STORIA法律事務所へのお問い合わせやご相談はこちらのフォームかお電話(神戸市・TEL078-391-0232)から フォローいただくとブログ更新を見逃しません↓
【AIビジネス法務・知財セミナー(基礎から応用まで)のご案内】  AIビジネス法務・知財セミナー(基礎から応用まで)を大阪(9月)、東京(10月)、福岡(12月)で開催いたします。  現場で実際に問題となる事例を厳選し、AIや知財の基礎から応用までじっくり解説する4時間です。  プログラム(予定)は以下のとおりです。  過去の参加者の声や申込、詳細はこちらのページからどうぞ。 【プログラムの内容(予定)】 第1 AIの基礎 第2 AIと法律・知財に関する問題領域の概観~AIの適法な生成、保護、活用、法的責任~ 第3 AIの生成に関する法律問題 1 様々なデータ(個人情報を含むデータ、著作権を含むデータ、肖像権を含むデータなど)を利用してデータセットや学習済みモデルを生成する場合の問題点 2 医療画像など個人情報を含んだ生データやデータベースから適法に学習用データセットや学習済みモデルを生成するには 3 第三者が著作権を有している生データやデータベースから適法に学習用データセットや学習済みモデルを生成するには 4 学習用データを収集するデータ作成者とAI学習を行う者が異なる場合、データ作成者からAI学習を行う者に対して学習用データを提供できるか 5 ウェブ上に公開されている学習済みモデルに独自データを入力して新しいモデルを生成した場合、その新モデルは自由に利用してよいのか。 6 共同開発や業務委託の形式で、データの提供を受けてモデルを生成する場合、学習済みモデルはデータ提供者とモデル生成者のどちらのものになるのか~実際に使える契約条項の検討~ 第4 AIの保護に関する法律問題 1 学習用データセット・学習済みモデルを保護する3つの方法(技術、契約、法律) 2 学習用データセットの保護 3 学習済みモデルの保護 (1) AIoTの場合 (2) AIaaSの場合 第5 AIの活用~AIが自動的に生成したものを法的に保護するにはどうしたらよいか~ 1 AI生成物の分類 2 AI生成物の保護 (1) AI著作物(著作権) (2) AI発明(特許権) (3) AI意匠・AI商標(意匠権、商標権) (4) AI営業秘密・ノウハウ(不正競争防止法) (5) その他の出力(製品の異常検知、スマートピッキングロボット、市場予測、投資判断、医療AIによる画像診断) 3 諸外国での例 第6 AI活用による法的責任について 1 基本的な考え方 (1) AIが何らかの機器に搭載されて提供されている場合 (2) AIが純粋なプログラムとして提供されている場合 2 具体例 (1) コンテンツ生成AIが既存コンテンツと同一コンテンツを「偶然」生成したら (2) 医療用AIが判断ミスをしたら 第7 質疑応答