弁護士紹介/ LAWYER

  1. ホーム
  2. 弁護士紹介
  3. 柿沼 太一|知的財産・IT・人工知能・ベンチャービジネスの法律相談なら【STORIA法律事務所】

柿沼 太一Taichi Kakinuma

専門分野はスタートアップ法務、AI・データ法務、ヘルスケア法務。現在、様々なジャンル(AI、バイオ、医療、製造業、プラットフォーム型等)のスタートアップを、顧問弁護士として多数サポートしている。経済産業省「AI・データ契約ガイドライン」検討会検討委員(~2018.3)。「第2回 IP BASE AWARD」知財専門家部門グランプリを受賞(2021) 。日本ディープラーニング協会(JDLA)理事(2023.7~)日本データベース学会理事(2020.8~)。

プロフィール
兵庫県弁護士会所属(登録番号 27255)
1997年 京都大学法学部卒業
2000年 司法研修所卒業、弁護士登録(第52期)
2011年 中小企業診断士登録
2015年 STORIA法律事務所を杉浦弁護士と共同で立ち上げ
2018年 経済産業省AI・データ契約ガイドライン検討委員会委員
2018年 スタートアップファクトリー構築事業に係る契約ガイドライン検討会構成員
2020年 (一社)日本ディープラーニング協会(JDLA)有識者委員就任
2020年 日本データベース学会理事就任
所属団体等
  • 社団法人著作権情報センター(CRIC)賛助会員
  • 弁護士知財ネット
  • 日弁連知財仲裁センター運営委員会(日弁連)
  • 日本ディープラーニング協会(JDLA)有識者委員
  • 日本データベース学会理事
  • ギリア株式会社 社外取締役
講演・セミナー実績
  • 「研究開発のための適法なデータ収集とは?(基礎編)」「研究開発のための適法なデータ収集とは?(実践編)」「データ収集・DB構築に関する法的規制~個人情報に関するものを中心に~」(日本データベース学会連続セミナー)
  • 「AI開発における『契約・知財・法律』(近畿経済産業局セミナー)
  • 「業務委託契約でコケないために」「利用規約を武器にせよ」「知っているようで知らない著作権」(start up向けセミナー)
  • AIに関する技術・契約・法律~AI保護の具体的手法~(UNITT・一般社団法人大学技術移転協議会セミナー)
  • 「AIと個人情報~AI学習用データとしての個人情報とAI処理対象としての個人情報~」(Deep Learning Labセミナー)
スタートアップとAI・データ領域のプロフェッショナルとして企業を全力で支えます
1997年京都大学法学部卒業。2000年弁護士登録。2015年にスタートアップのサポートを重点的に取り扱うSTORIA法律事務所を共同設立して現在に至る。専門分野はスタートアップ法務及びデータ・AI法務。

主な取扱事件

法人、事業者向け

  • ベンチャー立ち上げに際しての法的リサーチ、ビジネスプランのブラッシュアップ
  • 契約締結交渉・契約書作成(特にコンテンツ関連企業やWEB系ベンチャーに関するもの。
    ライセンス契約、共 同開発契約、コンテンツ制作委託契約等)
  • 知的財産関係(著作権、商標権、不正競争防止法)の紛争解決(交渉及び訴訟)
  • インターネット上のトラブル解決
  • 企業間トラブルの解決
  • 債権回収(交渉や訴訟による回収)

個人向け

  • 相続に関する一切のトラブル解決(遺産分割、遺言、遺留分)
  • 交通事故(被害者側)

著作権分野との出会いとおつきあいの深まり

私の専門分野の1つとして著作権分野があります。平成12年4月に弁護士登録してから2年半ほど東京の事務所で働いていたのですが、その時代にご一緒させていただいたパートナー弁護士から、弁護士になりたての頃に誘っていただいて以来、一貫して取り組んできた分野です。 著作権についてはそれまで全く興味も関心も無かったのですが、東京時代には、そのパートナー弁護士と組んで、非常に著名な訴訟事件を一緒に担当させて頂きました。その際に、知財事件ならではの理屈勝負であることや、著作権が世の中に非常に大きな影響を与えていることを知ったことから、「著作権」というものに俄然興味がわき始めました。

そして、神戸に移籍してきてからも、偶然ではありますが、ある映像制作会社と一緒にお仕事をさせて頂くことが増えました。その制作会社は、それほど大規模な会社ではありませんが、高品質な映像が業界内で非常に高く評価されている会社で、それだけに作品の無断利用などの問題が発生していました。 その会社から依頼を頂き、著作権がらみの契約書の作成や、作品の無断使用に対する交渉、訴訟等著作権関係の予防法務や紛争処理を経験してきました。

さらにその映像制作会社から紹介を受け、著名なアーティストからも仕事の依頼を受けるようになりました。制作している作品の規模や金額がかなり大きいアーティストですので、ほとんどすべての案件について契約書を作成しています。作品制作に関する契約書なので、当然のことながら、契約書には著作権が絡んできますし、当該アーティストが新しい試みを行うことも多いことから、契約書の内容のバリエーションも極めて豊富です。

このように著作権をはじめとする知的財産関係の予防法務や紛争処理については、ある程度の経験を積んできたのではないかと自負しています。

弁護士としての仕事観を決定づける訴訟案件

平成16年に、私の弁護士としての仕事観を決定づける訴訟案件がありました。私の顧問先会社の商品の類似品を販売した東京の大手通販業者に対して、不正競争防止法違反等を理由として訴訟提起したものです。
初めて相談を受けた際に思ったことは「これは大変な事件になる」ということでした。相手は大会社、法律的な争点も複雑でしたし、なにより双方の商品の機能や品質が真正面から争点になる事件だったため、敗訴した場合には、下手をすればこちらの会社がつぶれる可能性がありました。そのため、訴訟提起に際しては入念に計画を練り、準備を積み重ねました。相手会社には東京の大手法律事務所(いわゆる五大事務所の1つです)が代理人として就任し神戸地裁において裁判が始まりました。当方と相手とは会社としての規模は象とネズミほどの差がありました。また、正直言って、私としても、先方代理人が大規模かつ著名な法律事務所の弁護士ということで、かなり気後れしていた部分があります。

事件の難しさもさることながら、ここで負けたのでは、こちらは会社としての今後の戦略に甚大な影響を受ける、というか下手したら潰れることから、大げさでなく「生きるか死ぬか」の戦いでした。その分、私にかかるプレッシャーも並大抵ではありませんでした。ときに「これはダメかも」と落ち込んだり、ときに「これは行ける!」と喜んだり、途中、依頼者の方とお互い励まし合い、裁判提起から2年あまり経ち、判決の日を迎えることになりました。判決日の前日には、敗訴判決を受ける悪夢にもうなされましたが、当日の朝、起きたときにはなぜか「やるべきことはやりきった、もし敗訴したら控訴審でまた正々堂々と戦えばよい」という清々した気持ちで判決言い渡しの瞬間を迎えることが出来ました。ちなみに、このような事件の原告敗訴の時の主文は「原告の請求を棄却する」で、勝訴のときは「被告は・・・せよ」という主文になりますので、裁判官が「主文」に引き続いて「げ・・」と言い出すか「ひ・・・」と言い出すかで、勝訴か敗訴かがすぐにわかる、ということになります。

判決言い渡しの日、私は依頼者担当者の方と一緒に法廷の代理人席に座っていました。言い渡しを待つまでの間、緊張で体が震えていました。それまで司法試験受験や合格発表の瞬間も緊張しましたが、このときはそれに比べものにならないほどの緊張感でした。

弁護士という仕事は、依頼者という他人の運命、会社の運命を背負っている。

それは頭では理解していたつもりでしたが、判決を待つ間のわずか数分間、その本当の意味を、これほどまでに実感した瞬間はありませんでした。判決をメモするためのノートを目の前に広げ、ペンを持ちながらも、手が震え、いやな汗をかき続けました。裁判官が入廷してきて着席し、「判決を言い渡します。主文」のあとの言葉は「ひ・・・・」でした。それを聞いた瞬間、それまでの緊張感が一気に喜びへと昇華しました。判決言い渡し後、法廷を出て、担当者の方と固く握手をしたとき、ああ、自分は、まさに今、この瞬間のために仕事をしていたんだなあ、と心から実感しました。この判決は、その後無事確定し、こちらの会社もこの勝訴判決以後急激に成長しました。

この事件で私は弁護士という仕事の怖さと魅力を同時に味わい、それをきっかけにして「自分を必要としている人のために力を尽くし、共に喜びたい」と思うようになったのです。

企業経営への興味が湧き、中小企業診断士の資格取得を目指す

「困っている人の力になりたい」というのが、私が最初に弁護士を目指した時の想いでした。しかし、弁護士になって約8年、平成20年頃の頃ですが、ある疑問が湧いてきました。それは、単に法律的な問題についてアドバイス、解決をすることだけで、事業者の方々の役に本当に立つのか、という点です。 もちろん、法律的なトラブルを起こさないためのアドバイスや、起こってしまってからの解決は必要不可欠ですし、そのために弁護士という法律の専門家がいるわけです。ただし、事業者はトラブル防止やトラブル解決のために事業を行っているわけではありません。

弁護士が事業者の経営戦略に関しても深い知識を持ち、アドバイスできる存在になれれば、事業者の方にとって心強い存在になれるのでは無いか、という結論に至りました。しかし、平成20年当時の私は、弁護士としてのキャリアはあったものの、企業の経営戦略については全くと言っていいほど知識がありませんでした。その分野に関する書籍も読みあさりましたが、今ひとつ体系的な理解、把握が出来ないと感じてました。そこで、経営に関する唯一の国家資格である中小企業診断士の受験を決意したのです。

受験を決意したはいいものの、診断士の勉強を始めてみて、その合格率の低さ(当時5%程度)、試験範囲の広さ(1次試験はマークシート方式で7科目、2次試験は論文方式で4事例、3次試験は口頭試験)に圧倒されました。その一方で、企業経営理論、財務、経営情報システムなど、これまで系統だって学ぶ機会の無かった分野については、非常に新鮮で、かつ弁護士という仕事に生かせる可能性がひしひしと感じられましたので、夢中で取り組みました。1回目、2回目は不合格でしたが、仕事の合間を縫って受験勉強を続けた結果、3回目の挑戦で最終合格することが出来ました。

平成23年の4月に診断士登録をしてからは、それまでの顧問会社を中心として企業経営に関するご相談を数多く頂くようになり、その分野についても知識と経験を蓄積してきました。

ベンチャーとの出会い

「これだ!」

「つながった!」

そのときそう思ったことをはっきりと覚えています。

弁護士なら誰でも、自分の能力を全力投球できる分野、面白くてたまらない分野(お金になるかどうかはともかくとして)を求め続けています。私も弁護士になってから10年以上、目の前にある1つ1つの案件に全力で取り組みつつ、その一方で、掘り下げるべき分野を探し続けてきました。

平成25年に、あるベンチャーから契約書のチェックの依頼を受けたのが、きっかけでした。教育系のコンテンツを提供するベンチャー企業でしたが、そのベンチャーの経営者の方に会ってみると、物静かでありながら、自分のサービスを通じて世の中を良くしたい、という情熱を持ち、コツコツ努力を積み重ねていくタイプの人でした。また、依頼を受けた契約書のチェックの前提として、当該ベンチャーのビジネスモデルを理解する必要があるのですが、聞けば聞くほど面白く、その将来性に期待が持てるようなワクワクする内容でした。 これをきっかけに「世の中を変えたい」という動機で、最先端のワクワクする分野に、失敗するかもしれないけど全身全霊で取り組んでいるベンチャー企業という存在を、自分もまた全力で応援したいと思うようになりました。

すると、自分が持っている武器、つまり

  • 著作権に関する知識や経験
  • 企業経営に関するノウハウ
  • 弁護士としての10年以上の紛争・交渉解決の経験

がベンチャーにとって非常に役立つことに気づいたのです。

自分が10年以上かけてやってきたこと、それぞれは点と点に過ぎなかったものが、「ベンチャーを支援する」という線でつながった瞬間でした。

一生忘れないと思います。