著作権フリーの写真だと思って使用したら20万円の損害賠償になった実例

自社のウェブサイトやチラシで使える画像がないかと検索エンジンでフリー画像検索して出てきた画像を使ってますって、けっこう耳にします。でもそれめっちゃまずいですよって話。

写真やイラストを販売している業者が、自社写真を無断で使用していた被告に対して損害賠償等を求めた裁判で、平成27年4月、東京地裁はたとえ写真素材がフリーサイトから入手されたものだったとしても被告は責任を免れないと判断し、20万円弱の損害賠償の支払いを命じました。

東京地裁平成27年4月15日判決平成26(ワ)24391号損害賠償請求事件(判決全文

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原告業者のアマナイメージズ(http://amanaimages.com/)

■被告は著作権フリー素材だと信じていたと主張

写真を無断使用した被告側の言い分は

  • 被告従業員は、当該写真を著作権フリー素材であると信じて使用した(ただしどのサイトから入手したかは記憶していない)
  • 問題の写真には、原告の著作物であることを示す情報(識別情報)がなく、原告の著作物である認識がなかった以上、過失もない

というもの。写真はどこかのサイトでフリー素材として入手した、原告の著作物なら写真にそう書いといてくれないと分からない、という主張です。

■フリーサイトから入手した写真であっても、他人の著作物ならアウト!

東京地裁は、フリーサイトから写真を入手したケースについてこのように述べます。

「被告は,フリーサイトから写真等を入手する際に,識別情報のない著作物についてまで権利関係の調査を要するとすれば,表現の自由(憲法21条)が害されるとし,警告を受けて削除すれば足りるかのような主張をする。
しかし,仮に,E(被告従業員)が本件写真をフリーサイトから入手したものだとしても,識別情報や権利関係の不明な著作物の利用を控えるべきことは,著作権等を侵害する可能性がある以上当然であるし,警告を受けて削除しただけで,直ちに責任を免れると解すべき理由もない。被告の上記主張は,いずれも独自の見解に基づくものであって,採用することができない。

たとえフリーサイトから入手した写真であっても、写真に識別情報(著作権者が誰かを示す情報)がなく誰の著作物か不明な素材は、他人の著作権を侵害する可能性がある以上、使用してはならないと判断しているのです。これは怖い。
フリーサイトから取得したので著作権フリーだと信じていた、というのは言い訳として通用しないのですね。

なお本件と類似の裁判例として、東京地判平成24年12月21日(H23(ワ)第32584号)があります(判決文)。この裁判例では、Yahoo!の画像検索結果から写真をダウンロードしたケースについて、利用者は著作権侵害をしたものとして損害賠償責任を負うとしています。

■無断使用者がウェブに詳しい経歴かどうかも判断要素とされた

今回の判決が面白いのは、無断使用者の故意過失を判断するうえで、当該無断使用者がどれだけウェブに精通していたのかも判断要素に加えられているところ。

「E(被告法人の従業員)がどのような手段により本件各写真にアクセスしたのかは明らかでないが・・・Eは,ホームページを作成する会社に勤務してホームページ作成技術を学んだ後,・・・平成24年まで同社の事業としてホームページの作成業務を行っていたところ,同年10月からは,弁護士法人である被告の従業員として被告ウェブサイトの作成業務を担当していたことが認められるから,このようなEの経歴及び立場に照らせば,Eは,本件掲載行為によって著作権等の侵害を惹起する可能性があることを十分認識しながら,あえて本件各写真を複製し,これを送信可能化し,その際,著作者の氏名を表示しなかったものと推認するのが相当であって,本件各写真の著作権等の侵害につき,単なる過失にとどまらず,少なくとも未必の故意があったと認めるのが相当というべきである。

被告従業員は長年ウェブ業界に従事した後に被告法人に入社、ウェブサイト作成を担当していたという経歴と立場からすれば、他人の著作物だと気付かずにやってしまった(過失)どころか、ひょっとしたら他人の著作物かもしれないけどそれでもしょうがないよね(未必の故意)まであった、と厳しい認定をしています。

■著作権フリーサイトだからと言って安全ではない

・フリー素材サイトから入手した写真でも、他人の著作物であれば著作権侵害になりうる
・写真自体に識別情報(著作権者の明示)がなかったとしても言い訳にならない

有料画像は数百円出せば買えます(こことかこことかたくさんあります)。フリー素材には結構な法的リスクがありますし、なにより商用サイトで無料素材使ってると安っぽく見えます。
自社サイト用に有料画像を購入することは、あらゆる意味で良い投資だと思われますのでご参考までなのでした(もちろん自分で撮影した画像でもOK)(弁護士杉浦健二

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