【『ギア-GEAR-』】ビジネスとしてアートの権利を守っていくことが重要でした。
アートコンプレックスグループ様(『ギア-GEAR-』舞台公演・イベント企画運営)
2014年、旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」で、京都の観光地のうち、伏見稲荷大社に次ぐ第2位にランクインした『ギア-GEAR-』を筆頭に、巨大アヒル「ラバーダックプロジェクト」、二条城・二の丸御殿(国宝)のプロジェクションマッピングプロデュースなど数々のアートプロジェクトを手掛けるアートコンプレックスグループの小原啓渡代表に話を聞いた。
アートコンプレックスグループ(京都市)
代表 小原啓渡
http://www.artcomplex.net/
http://www.gear.ac/
劇場運営・技術スタッフの派遣を主軸とし、アーティストの表現活動をサポートすると共に、自らもイベントの企画・運営を行う。【関連会社】リッジクリエイティブ株式会社、ギア株式会社、株式会社アートコンプレックス、有限会社一九二八、アートサポート協同事業体
1998年 リッジクリエイティブ株式会社設立
2010年 ノンバーバルパフォーマンス『ギア-GEAR-』プロデュース
2013年 京都府文化ベンチャーコンペティションにおいて近畿経済産業局長賞、京都銀行賞ダブル受賞
2015年 『ギア-GEAR-』をロシアへ輸出、モスクワにて6ヶ月のロングラン公演実施
2017年 『ギア-GEAR-』が日本オリジナルコンテンツでは初のロングラン2000回公演突破
『ギア-GEAR-』East Version(千葉公演)スタート
2018年 関西インバウンド大賞受賞
アートの本質である創造性をビジネスに転換させていく役割
【2012年4月よりロングラン公演を続ける『ギア-GEAR-』。ノンバーバル(言葉に頼らない)で紡ぎ出されるストーリー、世界大会優勝のブレイクダンサーやジャグラー、マジック界のオリンピック日本代表マジシャンなどのパフォーマー達に、プロジェクションマッピングやLEDドレスなどの最新テクノロジーが融合。トリップアドバイザー「外国人に人気の日本の観光スポットランキング」では常に上位にランクインしている。】
弁護士杉浦 アートコンプレックスグループについて教えて下さい。
小原代表 「アートを切り口に、新しい価値を創造する」をコンセプトに活動しています。激動の時代には、新しい価値観を提示し続けることができるかどうかがビジネスの大きなポイントだと思っています。
杉浦 新しい価値観を提示できるかどうかが、アートにとってのビジネスのポイントということですね。
小原 今までアートって、ビジネスとあまりつながらないっていう感覚があったと思うんですよ。お金にならないとか食えないとか。ただ、今どんな業種にも「創造性」が非常に重要だと思うんです。アートの本質はまさにこの「創造性」ですから、プロデューサーという立場で、アートをビジネスに転換させていくのも僕の一つの役割なのかなと思っています。
杉浦 アートをビジネスにつなげる役割を小原代表は担っている、ということですね。
小原 はい。今後、人工知能やテクノロジーが従来の仕事にガンガン入り込んでくる中で、やはり人間だけが持つ創造性の価値というのが、もっともっと上がっていく気がするんですね。いわゆる「知識」ではなくて「知性」が重要になってくる。「知識」は情報ですが、「知性」は感性なんですよね。その感性的なもの、直感であるとか、創造力であるとかを、もっともっと生かした企画や、ビジネスモデルを今後作っていきたいと思っています。
杉浦 今おっしゃった直感や想像力を生かした企画の一つが『ギア-GEAR-』であると。
小原 そうですね。ギアだけでなく僕の企画は全てそうですね。
著作権やロイヤリティビジネスに強い弁護士があまりいなかった
杉浦 私(杉浦)に顧問契約をご依頼いただくことになったのはどういうきっかけだったんでしょうか。
小原 うちはコンテンツビジネスなので、いわゆる権利関係のロイヤリティであるとか著作権であるとか、そういう専門的知識が必要になるんですが、一般の事件ができる弁護士はいても、この辺の分野に強い弁護士があまりおられなく。そういうことに詳しい弁護士さんをずっと探してたんですよ。
杉浦 著作権やロイヤリティビジネスに強い弁護士はあまりいなかったと。
小原 はい。「著作権?」ていう感覚の弁護士さんも正直多くて、興味もないし知識もあんまりないっていう人が多かったですね。そういう中で杉浦さんを税理士さんから紹介していただいて、是非と。杉浦さんはもともとこういう分野をされてたということでしたし、なにより興味を強く持っておられた。興味っていうのは、一番大事。興味のない人にいくら頼んでも、やっぱり邪魔くさがられるわけじゃないですか(笑)。だからこの分野に興味を持っていただいてるってことと、この業界の法務にも携わっておられるというお話も聞いていたので、これはもう是非ということでお願いしたら、ばっちし当たったということですよね(笑)。
投げたボールはすぐ返ってくるし、まさにピントがずれてない。
杉浦 うちの事務所に依頼されてみて実際にどうだったか、率直なところを教えて頂けますか。
小原 もう素晴らしいですよね。投げたボールはすぐ返ってくるし、まさにピントがずれてない。
今までも相談した弁護士さんはいたんですけど、著作権とかロイヤリティとかに関しては、あんまり興味も知識もなかったからだと思いますが、仕事がスピーディーでなくて・・。返答も時間がかかる割に全然ピントがずれてるようななことも多かったですね。でも杉浦さんに関して言うと、投げたボールはすぐ返ってくるし、ピントも合ってる。ぴったりポイントを捉えて、即答していただけるので、僕らの仕事もスピード感が大事ですから、そういう意味でも大満足ですよね。いや、ほんとに。
杉浦 ありがとうございます。私自身も、アート業界の方とお話をするときに、そもそも契約書をほとんど交わさない例をたくさん見てて、コンテンツの権利を奪われまくってるのを見ているので何とかしたいという意識が強いです。
小原 そうなんですよね。
杉浦 知らないがゆえに、知らないうちに奪われている、という。
小原 そうなんです。基本的にアーティストって、あまりビジネスに興味がなかったり、人が良い、っていう人が多いですから。
杉浦 自分の作品がただ世の中に広がるのが嬉しかったりっていう気持ちももちろんあると思うのですが、それを逆に利用されてしまう例もあります。
小原 確かにそういう傾向はありますね。
杉浦 だから自分の作品を作られる以上は、自分の権利もきちんと守っていただきたいって気持ちが弁護士としてあります。
小原 とても大事だと思います、ほんとに。
ビジネスとしてアートの権利を守っていくことが重要
杉浦 今後、STORIA法律事務所に依頼を検討されているアート分野の企業やクリエイターに向けて、何か一言お願いできますでしょうか。
小原 ビジネスとしてアートの権利をちゃんと守っていくことは非常に重要だと思うんですね。そういう意味で、やはり杉浦さんのようにこの分野に知識、経験のある弁護士さんに色々相談するのはとても良いことだと思います。
杉浦 ありがとうございました。私も弁護士としてアートやテクノロジーなどの先端分野のご相談をお伺いすることがあるんですが、最先端の分野ほど、法律で明確に決まっていないことも結構多くて。法律が追いついてないんですよね。でも法律で明確に決まってないことも契約では決められる。最先端で、法律が追いついてない分野であればあるほど、我々がよりサポートできるんじゃないかなというふうに思っています。
小原 そう。おっしゃるとおりですね。