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楽天やAmazonのレビューにも多く見られる「ステマ」とは

アバター画像 柿沼太一

宣伝であると消費者に悟られないように宣伝を行うことをステルスマーケティング(ステマ)と言いますが、当事務所でもステマに関する相談を受けたりしております。

Advertising Commercial Merketing Business Plan Concept

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最近では週刊ダイヤモンドが、2015年11月7日号でステマ関連の特集記事を組み、その中で日本最大級のPRグループ会社ベクトルグループについて「ステマ記事の仲介役となっていた会社」として大々的に報じています。

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*ちなみに、この週刊ダイヤモンドの記事の中には「ダイヤモンド社もステマ発覚」として、過去に自社もステマ広告を行っていたことを告白?するコラムが掲載されており、全体としてなかなか興味深い記事になっています。

「ステマ」とは、一般的には「実際には広告であるにも関わらず、信頼性のある「口コミ」「記事」のように偽装されたもの」とされています。要するに「口コミ」や「記事」「感想」だと思っていたら、実はそれは広告主による「広告」だった、というものです。

■ステマの実例と最近のステマを巡る報道

古くは、ペニーオークション(ペニオク)を巡って芸能人によるステマが問題となりました。これは「ペニオクサイトで高額商品を格安で落札購入しました~。すごい!」というようなブログ投稿をしていた複数の芸能人について、実際には落札していないのに落札したかのようにして装ってペニオクサイトを紹介していたというものです。

また、食べログについても、サクラとして口コミ投稿を行って飲食店の評判を不当に上げていた口コミ代行業者が問題になりました。

このように、「信頼性のある中立的な『口コミ』や『記事』だと思っていたら、実はそれが広告主による『広告』だった」と知ったら、おそらく大多数の消費者は「だまされた」と思うでしょう。

最近はウェブメディアを使ったステマを巡る報道が盛んになってきています。

まず、7月30日にはYahoo!ニュースが、ステマについて「読者を裏切る」「優良誤認として景表法違反に問われる可能性もある」として糾弾しました。

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次に、8月12日にダイヤモンドオンラインが、都内にあるPR会社の国内大手、ベクトルグループについてステマを行っているとして名指しで批判しました。

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さらに、冒頭で紹介したように週刊ダイヤモンド2015年11月7日号はベクトルグループに関して大々的に報じています。

■ステマとは通常記事と同じ体裁なのに広告である旨の表示がない広告のことである

ステマを正しく理解するために必要な用語である「ネイティブ広告」「ノンクレジット広告」の意味を整理しておきます。

(1)ネイティブ広告=通常の記事と区別がつかない広告

ネイティブ広告とは、通常の記事・コンテンツと同様の体裁を持っているために通常の記事と区別がつかない広告のことです。
一般社団法人日本インタラクティブ広告協会の「ネイティブ広告の定義と用語解説」(後記【関連記事】参照)では「デザイン、内容、フォーマットが、媒体社が編集する記事・コンテンツの形式や提供するサービスの機能と同様でそれらと一体化しており、ユーザーの情報利用を妨げない広告」と定義されています。「媒体社」とは、ウエブメディアやTV、雑誌、ラジオなどの広告を掲載する媒体、すなわちメディアのことですね。

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ネイティブ広告の定義と用語解説

(2)ノンクレジット広告=広告であることを表記しない広告

さらにネイティブ広告の中にも、広告であることを表記しない広告=ノンクレジット広告と、広告であることを明記した広告があります。後者については広告であることを明記している以上、消費者にも広告であることがわかるため、問題はありません。
問題は前者です。ネイティブ広告+ノンクレジット広告の体裁の広告は、通常の編集記事と見分けがつかないため、一般消費者が広告ではないと誤認してしまう可能性が非常に高いのです。
図で示してみましょう。
2015y11m09d_011743277
この図の青部分全体、すなわち「ネイティブ広告+ノンクレジット広告の体裁の広告」をステマと呼ぶことが多いと思われます。
言い換えると、ステマとは
1 記事と同じ体裁をとっている(ネイティブ広告)
2 広告であるとの表示がない(ノンクレジット広告)
広告のことです。

■ステマは明らかに違法なステマとグレーなステマに分けられる

さらにステマは、明らかに違法なステマ(図の赤色部分)とグレーなステマ(図の黄色部分)の2つに分かれます。
明らかに違法なステマとは「景品表示法違反となる優良誤認・有利誤認表示を内容とするステマ」(赤の部分)で、グレーなステマとは「優良誤認・有利誤認表示を内容としないステマ」(黄色い部分)です。
赤の部分、つまり「ネイティブ広告+ノンクレジット広告の体裁の広告+優良誤認・有利誤認表示を内容とする」ステマが違法(景品表示法違反)であることは間違いありません。
優良誤認表示とは、簡単に言うと「商品やサービスの質について実際のものよりも著しく優良であると表示することや、事実に反して競合事業者のものよりも著しく優良であると示す表示」、有利誤認表示とは「商品やサービスの価格や取引条件について実際のものよりも著しく優良であると表示することや、事実に反して競合事業者のものよりも著しく優良であると示す表示」です。
たとえば、消費者庁では、平成24年5月9日に「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」の一部改定をしています。
この中で「問題となる事例」として指摘されている例にはこのようなものがあります。

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「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」の一部改定

商品・サービスを提供する店舗を経営する事業者が、口コミ投稿の代行を行う事業者に依頼し、自己の供給する商品・サービスに関するサイトの口コミ情報コーナーに口コミを多数書き込ませ、口コミサイト上の評価自体を変動させて、もともと口コミサイト上で当該商品・サービスに対する好意的な評価はさほど多くなかったにもかかわらず、提供する商品・サービスの品質その他の内容について、あたかも一般消費者の多数から好意的評価を受けているかのように表示させること。

広告主が、(ブログ事業者を通じて)ブロガーに広告主が供給する商品・サービスを宣伝するブログ記事を執筆するように依頼し、依頼を受けたブロガーをして、十分な根拠がないにもかかわらず、「△□、ついにゲットしました~。しみ、そばかすを予防して、ぷるぷるお肌になっちゃいます!気になる方はコチラ」と表示させること。

「もともと好意的な評価が多くなかったのにあたかも好意的評価が多数あるように表示させること」「十分な根拠がないにもかかわらず効果があるような表示をすること」からして、これらの事例は「有利誤認・優良誤認表示を内容とする」ものであり、景表法違反の内容です。
ですので、このようなステマは「「ネイティブ広告+ノンクレジット広告の体裁の広告+優良誤認・有利誤認表示を内容とする」ステマとして明らかに違法(景品表示法違反)です。

意見が分かれるのは「ネイティブ広告+ノンクレジット広告の体裁の広告+有利誤認・優良誤認表示を内容としない」ステマの方です(先ほどの図の黄色の部分)。
このタイプのステマの何が問題なのかは、明日の記事につなげます。

■まとめ

・ ステマとは通常記事と同じ体裁なのに広告である旨の表示がない広告のことである。
・ ステマを理解するためには「ネイティブ広告」「ノンクレジット広告」「景表法違反の有無」という視点で切り分けるのが分かりやすい。