人工知能(AI)、ビッグデータ法務 未分類
プリンシプル・コードが確定しました〜で、AI事業者は結局何をすればいいのか〜(第1回)
2026年8月24日、内閣府知的財産戦略推進事務局が「生成AIの適切な利活用等に向けた知的財産の保護及び透明性に関するプリンシプル・コード」を公表しました。あわせて「概要開示対象事項 具体例」も出ています。
私は昨年12月、その当初案について、「このままの内容で確定すると、日本のAI事業者(AI開発者及びAI提供者)に非常に大きな悪影響が及ぶと思います」と書き、AI開発者・AI提供者はパブリックコメントで必ず意見を述べるように強くお勧めしました。あれから8か月、確定版が出たわけです。
本記事で検討するのは、自分の会社は結局のところ何をしなければならないのかという点です。
もっとも、コードは総論と3つの原則から成り、原則ごとに検討すべき点が多いので、2回に分けて解説します。
第1回(本記事)で扱うのは、自社がコードの適用対象である「生成AI事業者」に当たるか、当たるとしてコードを受け入れるか、受け入れるとして各原則を実施するか実施しない理由を説明するか、という入口の3つの判断です。第2回で扱うのは、受け入れると決めた場合に実際に何が求められるのか、すなわち原則1(概要開示対象事項の開示)・原則2(権利者からの開示請求への対応)・原則3(利用者からの開示請求への対応)の中身と、コード全体の評価です。
先に結論を書いておくと、このコードへの対応は3つの分岐で整理できます。ただし、分岐1の「適用対象性」がかなりややこしく、コードだけでは結論が決まらない境界事例があるように思います。
Contents
- 1 1. まず判断フロー——3つの分岐で決まる
- 1.1 1-1. 分岐1:自分はコードの適用対象である「生成AI事業者」に当たるか
- 1.1.1 (1) 「AI」から「生成AI」への限定
- 1.1.2 (2) 分岐1は、さらに4つの判断に分かれます
- 1.1.3 (3) 判断1:生成AIシステム・生成AIサービスを公衆に提供しているか
- 1.1.4 (4) 判断2:生成AI事業者からの部分的な開発委託か
- 1.1.5 (5) 判断3:データホルダの許諾を得て、その許諾する先に提供しているか
- 1.1.6 ① 「保有」とは何か——権限を有すること、と読むしかない
- 1.1.7 ② 判断3に関する典型例
- 1.1.8 ③ 判断3に関するコードの考え方
- 1.1.9 ④ コードから判断できないが適用対象外と考えるべきパターン
- 1.1.10 (6) 判断4:特定の業界に特化し、かつ第三者の権利を侵害する生成物が生成されるおそれが著しく低い生成AIシステム等か
- 1.1.11 ① 判断4の具体的な意味
- 1.1.12 ② 「具体例」について
- 1.2 1-2. 分岐2:受け入れるか、受け入れないか
- 1.3 1-3. 分岐3:コンプライか、エクスプレインか
- 1.4 1-4. まとめ——判断フロー
- 1.1 1-1. 分岐1:自分はコードの適用対象である「生成AI事業者」に当たるか
1. まず判断フロー——3つの分岐で決まる

図1 判断フロー——3つの分岐
分岐は3つあります。
(2)コードの適用対象だとして、コードを受け入れるか
(3)コードを受け入れるとして、各原則を実施するか、実施しない理由を説明するか
順に見ていきましょう。
1-1. 分岐1:自分はコードの適用対象である「生成AI事業者」に当たるか
適用対象でなければ、そもそもコードは適用されず、当然、遵守義務もありません。公表も届出も要りません。ですから最初に確認すべきはここです。
対象となるのは「生成AI開発者」と「生成AI提供者」(両者を総称して「生成AI事業者」)です。
しかし、適用対象に該当しない主体(以下「適用対象外」といいます)が、当初案から大きく広がりました。
当初案が置いていた適用対象外は、実質2つだけでした。
明確化を期すため付言すれば、一の法人又は個人が保有するデータを用いて、その者のみが使用するAIシステムを提供する者は、この文書の「AI開発者」には含まれない。また、一の法人又は個人が保有するデータを用いて特化させたAIシステムを搭載したAIサービスを、その者のみに提供する者はこの文書の「AI提供者」には含まれない。
適用対象外を広げる修正がなされたのは、パブコメの後、最終回である第13回(2026年8月18日)検討会で提案された資料1においてです。第13回検討会の議事録では、事務局による修正の説明と、それに対する委員の質問・事務局の回答が読めますので、以下ではこれも手がかりにします。
もっとも、議事録で説明されているのは修正の全体像であって、条文の一つひとつの意味が示されているわけではありません。以下、事務局の説明や委員の指摘に基づく部分はその旨を明示し、それ以外は、パブコメで寄せられた意見と第11回から第13回までの議論から私が読み取ったものです。
(1) 「AI」から「生成AI」への限定
まず、当初案は「AI事業者」を対象としていましたが、最終版は「生成AI事業者」に限られ、「生成AI」の定義が新たに置かれました。
「生成AI」とは、文章、画像、プログラム等を生成できるAIモデルに基づくAIの総称をいう。
第10回の検討会で岡﨑委員が、生成AI以外のAIにはコードの内容が合わない(Eコマースや金融で使われるAIにrobots.txtの話をしても意味がない)と指摘しており、それがきっかけになったものと思われます。
(2) 分岐1は、さらに4つの判断に分かれます
分岐1で、自社がコードの適用対象かどうかは、次の4つを順に見ていけば整理できます。
ただ、実は判断3と4はかなり複雑で良くわからないところもあるんですけどね。。。。

図2 適用対象の判断フロー
(判断2)生成AI事業者からの部分的な開発委託か
(判断3)データホルダの許諾を得て、その許諾する先に提供しているか
(判断4)特定の業界に特化し、かつ第三者の権利を侵害する生成物が生成されるおそれが著しく低い生成AIシステム等か
最初の2つは比較的はっきりしています。難しい(よくわからない)のは判断3と4です。
(3) 判断1:生成AIシステム・生成AIサービスを公衆に提供しているか
「生成AI開発者」「生成AI提供者」の定義はこうです。
「生成AI開発者」とは、生成AIシステムを構築する役割を担う者であって、その開発に係る生成AIシステムを公衆(不特定の者又は特定多数の者をいう。以下同じ。)に実質的に提供した者(その目的、法人・個人の別を問わない。)をいう。
「生成AI提供者」とは、生成AIシステムをアプリケーション、製品、既存のシステム、ビジネスプロセス等に組み込んだサービス(以下「生成AIサービス」という。)を公衆に提供した者をいう。
この定義からすると、特定の顧客から委託を受けて生成AIシステム・生成AIサービスを開発・提供するAIベンダは「公衆」に生成AIシステム等を提供しているわけではないので、「生成AI開発者」「生成AI提供者」に該当しないのではないかと考える方もいるかもしれません。
しかし、それはおそらく誤りです。
コードにおける「公衆」の定義は、「不特定の者又は特定多数の者」です。
著作権法上、「公衆」には、不特定の者に加えて、特定かつ多数の者が含まれます(著作権法2条5項)。したがって、著作権法上は、特定かつ少数の者のみが対象となる場合を除き、不特定少数・不特定多数・特定多数はいずれも原則として「公衆」に該当するとされています。
ということは、コードにおける「公衆」の意味に、著作権法の解釈をそのまま適用することが可能だと思われます。
著作権法上、公衆から除かれるのは「特定かつ少数」だけであり、そして「特定」とは相手方が個別に決まっていることを指しますから、申込みに応じて誰とでも契約する関係にある相手は「不特定」と評価されます。1対1の送信であっても公衆送信に当たるとした、まねきTV最高裁判決(最判平成23年1月18日)の考え方1同判決は「何人も、Y(注:サービス提供者)との関係等を問題にされることなく、Yと本件サービスを利用する契約を締結することにより同サービスを利用することができるのであって、送信の主体であるYからみて、本件サービスの利用者は不特定の者として公衆に当たる」としている。と同じです。
コードの「公衆」の意味が著作権法上の「公衆」の意味と同一だとすると、コード上は「うちは受託開発だから、特定の会社にしか納めていない。公衆への提供ではない」という説明は通りにくいのではないかと思います。申込みに応じて誰からでも受注しているベンダーは、個々の契約相手が特定されていても、相手方が不特定の者だからです。
結局、判断1でコードの適用が除外されるのは次の3つに限られると思われます。
・研究・開発のみを行う事業者(コードにも「公衆への提供を行っておらず、研究・開発を行っているにすぎない者は、生成AI事業者に該当しない」と明記されています)
・閉じた少数の者にしか提供しない者(親会社グループ専属のベンダーのように、相手があらかじめ決まっていて新規の申込みを受けない形態)
(4) 判断2:生成AI事業者からの部分的な開発委託か
生成AI開発者・生成AI提供者側の双方に、部分的な開発委託の除外が置かれました。
生成AI開発者については以下のとおりです。
生成AI開発者から委託等を受けて、生成AIモデル・アルゴリズムの開発、データ収集(購入を含む)、前処理、生成AIモデル学習及び検証等の生成AIシステム構築過程の一部のみを引き受け、これを生成AI開発者に納入し又は役務を提供する役割を担うにすぎない者(その目的、法人・個人の別を問わない。)
生成AI提供者側もほぼ同じ形で、「生成AI事業者から委託等を受けて」検証・実装・提供・運用サポートの「一部のみ」を引き受け「生成AI事業者に」納入する者が外れます。
ここで見落としてはならないのは、委託元が限定されていることです。
条文は「生成AI開発者から委託等を受けて…これを生成AI開発者に納入し」(生成AI提供者側は「生成AI事業者から…生成AI事業者に」)と書いています。つまりこの除外は、委託元が生成AI事業者に該当する場合にしか使えません。しかも、条文は構築過程の「一部のみを引き受け」「役割を担うにすぎない者」としていますので、生成AI事業者から構築過程を丸ごと受託する場合には、委託元がAI事業者であってもこの除外は使えません。
開発したAIシステムをもっぱら社内だけで利用している(=公衆に提供していない)事業者のような、AI事業者では「ない」会社から受託して生成AIシステムを作る場合、この除外は使えません。
逆に、製造業や小売業でも、自ら生成AIシステム・サービスを公衆に提供するなら「生成AI事業者」になり得ますので、そのような事業者から構築過程の一部を受託するのであれば適用対象外になります。
受託という意味では同じですが、委託元がAI事業者に該当するか、そして受託した範囲が構築過程の一部にとどまるかで、コード適用の有無が変わるわけです。
(5) 判断3:データホルダの許諾を得て、その許諾する先に提供しているか
ここが最もわかりにくいところです。
コードには、こう書かれています。
明確化を期すため付言すれば、一の法人又は個人が保有するデータのみを用いて特化させた生成AIシステムを、当該データ提供者又はその指定する限られた範囲の者のみに提供する者は、この文書の「生成AI開発者」には含まれない。また、特定の企業グループ又は団体が保有するデータであって、当該企業グループ又は団体に属する法人又は個人から提供を受けたデータのみを用いて、当該企業グループ若しくは団体又はその指定する限られた範囲の者のみが使用する生成AIシステムを提供する者は、この文書の「生成AI開発者」には含まれない(データを提供した当該企業グループ又は団体に属する法人又は個人が、当該データの利用を許諾している場合に限る。)。
「明確化を期すため付言すれば」というのは、通常「普通に読んだらわかるはずだけど、誤読されたら困るから書いておくね」という意味ですが、この判断3の中身は、普通に読んでもわからないと思います。なので「明確化を期すため付言すれば」というのはちょっとおかしいと思うんですけどね。。。
まあ、それはそれとして、当初案の「その者のみ」が「当該データ提供者又はその指定する限られた範囲の者のみ」に広がり、特定の企業グループ又は団体の版が新設されました。一方でデータの側は「データを用いて」から「データのみを用いて」と限定されています。
この条文をどう読むか、順番に見ていきましょう。
① 「保有」とは何か——権限を有すること、と読むしかない
まず、この条項には、一の法人又は個人が「保有」するデータという用語が用いられていますが、コードに「保有」の定義はありません。
しかし、コードの趣旨からすれば「保有」とは、事実上持っていることではなく、「当該データを利用する権限(第三者に利用させることを含む)を有すること」と読むしかないと考えます。単なる事実上の保持で足りるなら、第三者の著作物を無断で収集して手元に置いている者も「保有」している者に含まれてしまいますが、そのような解釈は知的財産の保護というコードの目的にそぐわないからです。
企業グループ版には「(データを提供した当該企業グループ又は団体に属する法人又は個人が、当該データの利用を許諾している場合に限る。)」という条件が付いています。単独版にこれがないのは、単独版では保有者とデータ提供者が同一人で、提供する行為自体に許諾が含まれるからでしょう。条文は一貫して「許諾する権限を有する者が生成AIシステム開発・提供におけるデータ利用を許諾したか」を問うていると読めます。
もっとも、これは私の解釈であって、内閣府がこの読み方を採っていると公表されたわけではありません。
② 判断3に関する典型例
(ⅰ)コードが明言している適用対象外の典型例
まずコードが明言している適用対象外の典型例は「データ提供者から提供を受けたデータを利用して開発した生成AIシステム等を、当該データ提供者のみに提供する場合」です。

図3 データ提供者から提供を受けたデータを利用して開発した生成AIシステム等を、当該データ提供者のみに提供する場合
以下の、コード1(2)イの具体例①の法人Bがこのパターンです。
① 汎用的な生成AIシステム又は生成AIサービスを公衆に提供している法人Aからライセンスを受けた法人Bが、法人Cから法人Cの保有する法人Cに関するデータの提供を受けて、当該汎用的な生成AIシステム又は生成AIサービスを基にして法人Cから提供を受けたデータを用いて法人Cの社内業務のみに特化させた生成AIシステム又は生成AIサービスを開発し、これを法人Cに提供している場合における「法人B」(当該生成AIシステム又は生成AIサービスが法人Cから提供を受けたデータのみに基づき生成を行うよう構築されている場合に限る。)
もう一つコードに明記されている適用対象外の典型例は「データ提供者がベンダにデータを提供して開発委託した生成AIシステム等を、当該データ提供者が指定する限られた範囲の者のみに提供する場合」です。

図4 データ提供者がベンダにデータを提供して開発委託した生成AIシステム等を、当該データ提供者が指定する限られた範囲の者のみに提供する場合
以下の、コード1(2)イの具体例②の法人Cがこのパターンです。
上記①の場合における法人Cが、当該生成AIシステム又は生成AIサービス(例:チャットボット)を、法人Cの顧客のみに提供している場合における「法人C」
さらにコードに明記されている適用対象外のパターンは、「特定の業界に属する複数のデータ提供者から提供を受けたデータを利用して開発した生成AIシステム等を、当該データ提供者のみに提供する場合」です。

図5 特定の業界に属する複数のデータ提供者から提供を受けたデータを利用して開発した生成AIシステム等を、当該データ提供者のみに提供する場合
以下の、コード1(2)ウの「◯ ただし、・・・・」の具体例(後述の判断4の具体例でもあります)がこれに該当します。
特定の業界Xに属する法人I、法人J、法人K及び法人Lから提供を受けたデータのみを用いて、業界Xに特化した生成AIシステム又は生成AIサービスを開発し、これを法人I〜Lに提供している場合には、「生成AI事業者」に該当しない(当該生成AIシステム又は生成AIサービスが法人I〜Lから提供を受けたデータのみに基づき生成を行うように構築されている場合に限る。)。
なぜ「特定の業界に属する」という限定が必要なのかよくわからないのですが(この点は判断4で改めて触れます)、ともかく、コードに明記されている適用対象外のパターンには「特定の業界に属する」という留保がついています2なお、事務局の説明によると、この「特定の業界に属する」対象者への提供も、「公衆」に対する提供に該当する、ということのようです(第13回議事録7ページ)。
また、コードに明記はされていませんが、「データ提供者自身が、自ら保有するデータを用いて開発した生成AIシステム等を、当該データ提供者が指定する限られた範囲の者のみに提供する場合」も適用対象外に該当すると思われます。

図6 データ提供者自身が、自ら保有するデータを用いて開発した生成AIシステム等を、当該データ提供者が指定する限られた範囲の者のみに提供する場合
(ⅱ)適用対象外に該当しないと明記されている典型例
逆に、コード上、適用対象外に該当しないと明記されている典型例があります。
「データ提供者又はその指定する限られた範囲の者以外の者に対して、生成AIシステム等を提供する場合」です。

図7 データ提供者又はその指定する限られた範囲の者以外の者に対して、生成AIシステム等を提供する場合
以下の、コード1(2)ウの具体例です。
汎用的な生成AIシステム又は生成AIサービスを公衆に提供している法人Dからライセンスを受けた法人Eが、当該汎用的な生成AIシステム又は生成AIサービスを基にして特定の業界Xに特化した生成AIシステム又は生成AIサービスを開発し、これを業界Xに属する法人F、法人G及び法人Hに提供している場合
要するに、生成AI事業者が、生成AIシステム等を提供する相手方「以外」の者から提供を受けたデータ・あるいはベンダ自ら収集したデータを用いて開発した生成AIシステム等を提供する場合です。
AIベンダがある事業者(非AI事業者)から委託を受けて当該事業者向けのシステム開発をする場合においては、当該事業者から提供を受けた当該事業者独自のデータに加え、権利制限規定(30条の4)を利用して、ウェブや書籍から収集したデータを利用することはよくあります。この場合も、コードの適用対象外には該当しないと思われます。
③ 判断3に関するコードの考え方
ここからは私の推測です。
明確には記載されていないのですが、おそらくコードは、「①データの利用権限を有するデータ提供者から提供を受けたデータを利用した開発か」×「②開発した生成AIシステム等の提供先がどこか」の組み合わせで、コードの適用有無を判定しているのだと思われます。
表で整理してみました。
◎・◯が適用対象外、×が適用あり、?がコードからは判断できない部分です。

図8 判断3に関する表
この表の読み方ですが、まず、縦軸の「データ提供者」は、当該生成AIシステム等を開発するのに利用したデータの提供者の存否の問題です。データの利用権限(提供権限)を有するデータ提供者が1社、数社、多数の場合と、データ利用権限を有するデータ提供者の許諾を受けずに収集したデータで開発したAIシステム等(WEBのクローリングによりデータ収集して開発する例が典型例です)に分かれます。
このうち、データ利用権限を有するデータ提供者の許諾を受けずに収集したデータで開発したAIシステム等については、当該システムの提供先が誰であろうが、コードの適用があることは明白です(表の「×」の部分)。

図9
次に、横軸は、当該AIシステムを誰に提供しているか、です。
まず大きくは、当該AIシステムの開発に利用したデータのデータ提供者にAIシステム等を提供している場合と、データ提供者以外の者に提供している場合に分かれます。そして、前者はデータ提供者1社のみに提供している場合、数社のデータ提供者に提供している場合、多数のデータ提供者に提供している場合に分かれ、後者は、データ提供者が指定する限られた範囲の第三者と、データ提供者が許諾する不特定多数の第三者に分かれます。
先ほど紹介した3つの典型例は、いずれも◎を記載しています。◯の例は「数社のデータ提供者から提供を受けたデータを利用して生成したAIシステム等を、データ提供者のうち1社に提供する」パターンですが、イ、ウの具体例からすると適用対象外で間違いないと思います。
④ コードから判断できないが適用対象外と考えるべきパターン
問題は、コードから判断できない事例です(表の「?」部分)。
しかも、この「判断不能事例」は実際に数多く生じると思います。
(ⅰ) 多数のデータ提供者から提供を受けたデータを利用して生成したAIシステム等を、当該データ提供者に提供する場合
まず、「多数のデータ提供者から提供を受けたデータを利用して生成したAIシステム等を、当該データ提供者に提供する場合」です。

図10
これはよくあるパターンだと思います。
投稿系のサービスを提供しているAI事業者が、多数の投稿者の投稿データを利用してAIを開発し、当該投稿者向けのサービスに利用する場合です。そのようなAI事業者は、利用規約で投稿者から投稿データの利用許諾を得るのが通常ですので、「多数のデータ提供者から提供を受けたデータを利用して生成したAIシステム等を、当該データ提供者に提供する場合」に該当します。

図11
コード上適用対象外が明記されているのは、データ提供者が1社の場合と、データ提供者が「同一業界に属する数社」であり、かつ当該データ提供者のみにAIシステム等が提供されている場合のみです。
しかし、この「多数のデータ提供者から提供を受けたデータを利用して生成したAIシステム等を、当該データ提供者に提供する場合」も適用対象外に該当すると明記するべきだったと考えます。
というのは、そもそもコードの主たる目的は「知的財産権の適切な保護」にあるところ、データ提供者の数が1社であろうが数社であろうが、多数であろうが、データ利用権限を有するデータ提供者の許諾を得たデータを利用して開発したAIシステム等の提供について、コードを適用する必要性がないからです。
(ⅱ)データ提供者から提供を受けたデータを利用して開発した生成AIシステム等を、当該データ提供者以外の第三者に提供する場合
次に、「データ提供者から提供を受けたデータを利用して開発した生成AIシステム等を、当該データ提供者以外の第三者に提供する場合」です。もちろん、当該データ提供者以外の第三者に提供することについてデータ提供者の承諾を得ていることが前提です(そうでないとデータ提供者との契約違反や著作権侵害に繋がる可能性があるので)。

図12
たとえば、先ほどの投稿系サービスの事例で、開発したAIを、投稿者向けサービス「以外の」サービスに利用する場合などが考えられます。

図13
また、オープンデータ(データの権利者が、AI開発への利用を許諾するライセンスを付して公開したデータ。例えばCCライセンスが付されたデータなど)を用いて開発を行う場合も、この「データ提供者から提供を受けたデータを利用して開発した生成AIシステム等を、当該データ提供者以外の第三者に提供する場合」に該当します。
この場合にコードが適用対象外になるかはコード上は明記されていません。
しかし、私は、この「データ提供者から提供を受けたデータを利用して開発した生成AIシステム等を、当該データ提供者以外の第三者に提供する場合」も適用対象外に該当すると明記するべきだったと考えます。
理由は先ほどと同じです。つまり、コードの主たる目的である「知的財産権の適切な保護」のためには、開発に利用するデータの権利者の許諾を得ているかが問題なのであり、開発したシステムの提供先がデータ提供者かどうかとは無関係のはずです。
先ほど、コードは、「①データの利用権限を有するデータ提供者から提供を受けたデータを利用した開発か」×「②開発した生成AIシステム等の提供先がどこか」の組み合わせで、コードの適用有無を判定しているのだと思われます、と説明しました。
しかし、本当は「①データの利用権限を有するデータ提供者から提供を受けたデータを利用した開発か」だけでコードの適用有無を判断すべきだったと思います。
コードの目的からすると、そもそもコードは権利者の許諾を得ずに収集したデータ(例:書籍のデータや、ウェブからクローリングしたデータ)で作る生成AIシステム等をターゲットとしているはずです。そうすると、コードの適用有無を判断する際にはもっぱら「①データの利用権限を有するデータ提供者から提供を受けたデータを利用した開発か」だけを考えればよく、「②開発した生成AIシステム等の提供先がどこか」はコードの適用有無には無関係なはずです。
データの利用権限を有するデータ提供者から提供を受けたデータを利用した開発なのであれば、データ提供者が多数でも良いですし、開発したAIの提供先が、データ提供者かそれ以外か、ましてや特定の業界に限定されているかは問題にならないはず、ということです。
結局のところ、判断3は次の1文で足りたのではないでしょうか。
「データの利用権限を有する者から使用を許諾されたデータのみで生成AIシステム等の開発を行った場合」
この1文なら、オープンデータも、多数の権利者からの許諾も、データ提供者以外へのAIシステム提供も一貫して適用対象外となり、逆に許諾を得ず、権利制限規定を使って収集したデータを利用した開発にはコードが適用されます。
現行のコードの条文がわかりにくいのは、「データの利用許諾があるか」ではなく、データ提供者の数や範囲、AIシステムの提供先を限定するかという基準を用いているためだと思います。
(6) 判断4:特定の業界に特化し、かつ第三者の権利を侵害する生成物が生成されるおそれが著しく低い生成AIシステム等か
① 判断4の具体的な意味
まず、この判断4については、コードだけを読んでも、コードの中での位置づけそのものがよくわかりません。
この一文は、1(2)ウ(特定の業界に特化した生成AIシステム又は生成AIサービスを開発又は提供している場合)の中に、「ただし」で始まる形で置かれています。そうすると、この「第三者の権利を侵害する生成物が生成されるおそれが著しく低い生成AIシステム等」というのは「特定の業界に特化した生成AIシステム等」に該当する場合にのみ適用される話のようにも読めます。
第13回では、この点を3人の委員が指摘しています。まず岡田(淳)委員です。
この例外はウの項目の中に書かれているので、そういう意味ではあくまでウの前提である「特定の業界に特化した生成AI」の場合に限定される例外のようにも読めるのです。ただ、そうだとすると、なぜ特定の業界に特化した生成AIの関係でのみ、この特別な例外が置かれるのかというのがロジカルにはよく分からないところもあって、他方で、この例外は別にウに限らず、広く適用されるのだという読まれ方もあり得るような感じはしていて、その辺りが全体的に細かく考えていくとクリアでない部分もあるのかなと個人的には思ったところがあります。
(第13回議事録・岡田(淳)委員)
上野委員も、「第三者の権利を侵害する生成物が生成されるおそれが著しく低い生成AIシステム等」であれば、「「特定の業界」に限らず、公衆を対象としてサービスをしている事業者が一般的に対象外」と考えても良いように思うと指摘しています。
田村委員も、フィジカルAIを念頭に「別に特定の業界に特化しなくてもよくて、例外と扱ってよいように私も思った」と述べています。
そして、事務局は田村委員からの指摘に対して「ここは第三者の権利を侵害する生成物が生成されるおそれが著しく低い生成AIシステムというふうに、ここに該当し得るものをかなり広く取っていまして、これを奇貨として何か抜けがけのような形になる、また、コードの趣旨に反するだろうということで一応、ここでその限定(柿沼注:「特定の業界に特化した」という限定)を加えているということでございます。」と回答しています。
事務局は上野委員に対しても「ここは特定の業界に特化したというところは全部にかかってくる整理でございますので」と答えています(第13回検討会議事録10ページ)。
したがって、結局のところ、「第三者の権利を侵害する生成物が生成されるおそれが著しく低い生成AIシステム等」というのは、「特定の業界に特化したものに限られる」というのがコードの解釈のようです。
私も個人的には、この3委員が指摘しているように「第三者の権利を侵害する生成物が生成されるおそれが著しく低い生成AIシステム等」であれば、特定の業界に限る必要はなく、一般的にコードの適用対象外として良いのではないかと考えていますが、事務局からの回答を前提とする限り、上記のように解釈するしかないでしょう(事務局の回答内容はあまり合理的ではないように思いますが)。
② 「具体例」について
このように、コードは、特定の業界に特化し、かつ第三者の権利を侵害する生成物が生成されるおそれが著しく低い生成AIシステム等を開発又は提供している場合を適用対象外とし、その具体例として以下の2つを挙げています。後者の具体例については判断3で言及したので前者について少し検討します。
【具体例】
○ 次の生成物が極めて高い頻度で生成される生成AIシステム又は生成AIサービスを開発又は提供する者は「生成AI事業者」に該当しない。
・ 既存の著作物の創作的表現を直接感得することができない生成物
・ 意思決定に資する統計的データ、推論結果等にとどまる生成物
○ 特定の業界Xに属する法人I、法人J、法人K及び法人Lから提供を受けたデータのみを用いて、業界Xに特化した生成AIシステム又は生成AIサービスを開発し、これを法人I〜Lに提供している場合には、「生成AI事業者」に該当しない(当該生成AIシステム又は生成AIサービスが法人I〜Lから提供を受けたデータのみに基づき生成を行うように構築されている場合に限る。)。
まず、「既存の著作物の創作的表現を直接感得することができない生成物」が極めて高い頻度で生成される生成AIシステムについては、著作権侵害のリスクが低いので適用外ということでしょうね。文化庁の「AIと著作権に関する考え方について」では、開発・学習段階における享受目的が推認される一事情として「生成・利用段階において、学習された著作物と創作的表現が共通した生成物の生成が著しく頻発する」ことを例示しています。
合わせて、「考え方」は「生成・利用段階において、AI が学習した著作物と創作的表現が共通した生成物が生成される事例があったとしても、通常、このような事実のみをもって開発・学習段階における享受目的の存在を推認することまではでき」ないとしています。
つまり「考え方」は、創作的表現が共通した生成物が生成される事例があっても、それが著しく頻発するのでなければ、開発・学習段階における享受目的は推認されず、著作権法30条の4の適用は直ちに否定されない、と整理していることになります。
一方、コードは「既存の著作物の創作的表現を直接感得することができない生成物」が極めて高い頻度で生成される生成AIシステムのみを適用対象外としています。両者を読み比べると、コードの方が、侵害のおそれを認める範囲を広くとっている(言いかえれば適用対象外を狭くとっている)ことがわかりますね。
次に「意思決定に資する統計的データ、推論結果等にとどまる生成物」が極めて高い頻度で生成される生成AIシステムですが、これが具体的にどのようなものを指しているのかはよくわかりません。
特定の業界に特化した、社内の意思決定用のRAGシステムにおいて、RAG用に整備したDB内の著作物がそのまま出力されないように設計したシステムはこのタイプの適用対象外に該当するのかもしれません(よくわかりませんが)。
1-2. 分岐2:受け入れるか、受け入れないか
(1) 「受け入れない」という選択肢がある
このコードには「受け入れない」という選択肢があります。そして受け入れない場合、受け入れない理由を説明する必要すらありません。
「コンプライ・オア・エクスプレイン」という言葉から、「実施するか、実施しない理由を説明するかのどちらかしかない」と読んでしまいそうになりますが、そうではありません。根拠は3箇所です。
① 総論1(3)——コンプライ・オア・エクスプレインは「コードを受け入れた生成AI事業者」に期待される
この文書の趣旨を理解し、これを受け入れた生成AI事業者に対して、この文書の趣旨を踏まえた対応が図られることを期待するものである。
その上で、この文書は、以下に示す原則についてコンプライ・オア・エクスプレインの手法により対応を求めるものである。
「受け入れた生成AI事業者に対して」期待し、「その上で」コンプライ・オア・エクスプレインを求める、という順序です。つまりコンプライ・オア・エクスプレインは、受け入れた者だけが入る枠組みです。
② 総論1(4)——公表と届出も「受け入れる事業者」に対する期待
この文書の受入れ状況を可視化するため、以下に示す原則を受け入れる生成AI事業者に対して、次の事項を期待する。
受入れ表明、実施事項の公表、実施しない原則がある場合の理由の説明、内閣府知的財産戦略推進事務局への届出、原則として毎年の見直し。これらはすべて「受け入れる生成AI事業者に対して」期待されています。
③ 2(2)——コードの「エクスプレイン」の定義
この文書における各原則については、当該原則が技術的な現実に見合わない等の理由により、生成AI事業者が各原則の全部又は一部について実施せず、その理由を「エクスプレイン」するものを妨げるものではない。
コードにおける「エクスプレイン」とは、原則を実施しない理由の説明です。「受け入れない理由の説明」という概念は、コードのどこにも存在しません。
したがって、「受け入れない」という選択をした事業者に対して、コードは公表・届出・説明のいずれも求めていません。コードを受け入れなければ、コード上は何もしなくてよい、ということになります。
(2) スチュワードシップ・コードはどうなっているのか
このコードは冒頭で「コーポレートガバナンスの分野におけるスチュワードシップ・コード等の取組(コンプライ・オア・エクスプレイン)等を参考に」と書いています。では、そのスチュワードシップ・コードには「受け入れない」という選択肢があるのでしょうか。
実はあります。しかも、プリンシプル・コードの総論1(3)(4)は、スチュワードシップ・コード前文の第9項から第11項をほぼ逐語で写したものです。
本コードは、法令とは異なり、法的拘束力を有する規範ではない。本コードの趣旨に賛同しこれを受け入れる用意がある機関投資家に対して、その旨を表明(公表)することを期待する。
(「責任ある機関投資家」の諸原則《日本版スチュワードシップ・コード》第三次改訂版・令和7年6月26日・前文9項)
読めばわかるように、受け入れる用意がある機関投資家に表明を期待する、という構造です。受け入れない機関投資家には何も求めていません。金融庁が「受入れを表明した機関投資家のリスト」を公表しているのも、プリンシプル・コードの届出・一覧公表と同じ発想です。
(3) 「インセンティブ」に関する文言は削除されました
当初案には、私が「さらっと怖いことが記載されていますね」と書いた一文がありました。
政府においては、各事業者の公表内容や具体的な取組の状況等を評価し、政府が実施・運用する各種の事業や制度等において、一定のインセンティブを設けることも期待される。
この一文は最終版で完全に削除されました。
「インセンティブ」という言葉は、最終版のどこにも出てきません。ビジネス・ソフトウェア・アライアンス、日本知的財産協会、AIスタートアップ11社の共同意見書がいずれも削除を求めていた箇所であり、そこは容れられたことになります。
もっとも、文言が消えても、事実上のインセンティブが働くのではないかという懸念は残っています。第13回で岡田(陽)委員は、次のように述べています。
政府系の案件における入札条件や、東証等の上場審査等において本件が過度に足かせとなったり、遵守を求めるあまり本末転倒な状況に陥ったりすることがないよう、運用上のご配慮をいただけますと幸いです。
(第13回議事録・岡田(陽)委員)
受け入れないという選択肢が形式的にあることと、受け入れないことが実際にAI事業者に不利に働かないこととは、別の問題です。分岐2の判断をするときには、この点も見ておく必要があると考えます。
1-3. 分岐3:コンプライか、エクスプレインか
受け入れる場合は、各原則について「実施する」か「実施しない理由を説明する」かを選びます。ここは条文どおりで、特に難しいところはありません。
注意が必要なのは、何がエクスプレインとして認められ、何が認められないのかです。コードは、ここについて意外に細かく書き込んでいます。

図14 エクスプレインとして認められるもの・認められないもの
(1) 認められるもの①:機微な情報に当たる場合
コードは、機微な情報の強制的な開示を求めるものではないとしています。
生成AI事業者に帰属する機微な情報(営業秘密及び安全性・セキュリティに関するものをいう。)の強制的な開示を求めるものではなく、法的拘束力を有する規範ではない。
この一文は、当初案・パブコメ版では総論に1箇所あるだけでした。最終版では、これに加えて原則1・原則2・原則3の各本文にも繰り返し書き込まれています。 事業者側の懸念に応えた修正だと思われます。
ただし、開示しないならその旨の説明は必要です。
原則1は「概要開示対象事項の一部について開示をすることができない場合には、その理由を示すことによりエクスプレインを行うものとする」としています。事務局が公表した「概要開示対象事項 具体例」には、その記載例が示されています。
<エクスプレインする場合の例>
モデル開発において、第三者との間で使用モデルのライセンスに関する契約を締結しているが、当該契約上の秘密保持義務のため、及びビジネスの根幹にかかわることから、当該第三者の名称等を開示することはできない。
(2) 認められるもの②:技術的に不可能な場合
なお、生成AI事業者において、この原則に基づく開示を行うことが技術的に不可能である旨を必要な根拠を示して述べた場合には、「エクスプレイン」を行ったものとする。
原則2・原則3の細則に、それぞれ入っています。「必要な根拠を示して」という条件は付いていますが、技術的不能を理由とするエクスプレインが正面から認められたことになります。
なお、第13回では、新委員が、ベンチャー企業の立場から、小規模事業者が資金的な理由で対応できない場合はどこまで認められるかと尋ねていますが、事務局の回答は明確でした。
例えば、今、コストのお話がございますけれども、端的に言えば、そのコストがかかるということのみをもって、それをエクスプレインにできるかと言われれば、それをお認めするというのはなかなか難しいところがあろうかというように考えております。
(第13回検討会議事録8ページ)
コストがかかるということだけでは「技術的に不可能」に当たらない、ということです。事業規模を理由とする緩和も、正面からは認められていません。
また、この「原則に基づく開示を行うことが技術的に不可能である」には「開示によって自社の技術的競合優位性が失われてしまう」は含まれていません。そのような「開示によって自社の技術的競合優位性が失われてしまう」場合は、(1)の「認められるもの①:機微な情報に当たる場合」に該当するのではないかと思われます(第13回検討会議事録11〜12ページ)。
(3) 認められないもの①:体制がないと言うだけ
生成AIシステム又は生成AIサービスを公衆に提供する者としての説明責任を果たす観点から、原則2を実施する体制構築ができていないことを述べるだけでは「エクスプレイン」として不十分とし、事業者としての事業規模等を勘案しつつ、当該体制構築が完了する時期を適切に説明するものとする。
「まだ体制がありません」で終わらせることはできず、いつまでに作るのかを言わなければならない、ということです。
(4) 認められないもの②:契約等にオーバーライド条項が存在していることを示すだけ
明確化を期すため付言すれば、契約又は利用規約においてこの文書の示す原則の適用を撤廃又は制限する規定(オーバーライド条項)が存在しているということを示すだけでは「エクスプレイン」としては不十分であり、なぜ当該規定を設けて撤廃又は制限をしているのかということを説明することを要する。
2(2)には、次の一文もあります。
なお、この文書の定める各原則を実施することを表明していた場合(すなわち、受入れ表明をしていた場合)であっても、利用規約等の規定に基づき開示対象を限定する等、実質的にこの文書の定める各原則を実施していないと評価できる場合には、別途「エクスプレイン」を要する。
つまり、いったんコードの受入れ表明をした場合、受け入れておいて利用規約の条項で絞る、というやり方をとると、なぜその条項を設けたのかまで説明しなければならなくなるわけです。
受け入れない場合には何の説明も要らないのに、受け入れて利用規約で絞ると説明負担が増えることになりますので、受け入れるか否かの判断は、ここまで見通したうえで行う必要があると考えます。
1-4. まとめ——判断フロー

図1 判断フロー——3つの分岐
なお、分岐3は原則ごとに判断できます。 原則1は実施するが原則2・原則3はエクスプレインする、という組み合わせも可能です。原則2・原則3については、第2回で見るとおりエクスプレインの余地がかなり広く残されています。
第1回はここまでです。
自社が適用対象であり、かつコードを受け入れると決めた場合には、次に、原則1から原則3として具体的に何が求められているのかを確認する必要があります。第2回では、原則1(概要開示対象事項の開示)・原則2(権利者からの開示請求)・原則3(利用者からの開示請求)の中身を順に見ていきます。
- 1同判決は「何人も、Y(注:サービス提供者)との関係等を問題にされることなく、Yと本件サービスを利用する契約を締結することにより同サービスを利用することができるのであって、送信の主体であるYからみて、本件サービスの利用者は不特定の者として公衆に当たる」としている。
- 2なお、事務局の説明によると、この「特定の業界に属する」対象者への提供も、「公衆」に対する提供に該当する、ということのようです(第13回議事録7ページ)












