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STORIAの弁護士による解決事例。イラストを無断使用された製作会社からの依頼で、地方公共団体に対して損害賠償請求を行いました。

■相談内容

ある地方公共団体(Y市)が、イラスト制作会社(X製作)のイラストを無断利用して観光用の資料等を制作・配布したり、Y市WEBサイトでイラストをアップしたりしていました。
X制作は別の弁護士に依頼してY市に抗議したが、WEB上のイラストは削除してくれたがそれ以上の対処はしてくれませんでした。X制作としては、可能であればY市に対して損害賠償請求をしたいということで、当事務所に相談が持ち込まれました。

■問題となるポイント

Y市の観光用の資料やWEBサイトでの利用が、X製作の著作権を侵害していることは間違いない。本件では誰に対して損害賠償請求するかが問題となった。

■解決までの流れ

1 市・旅行社・下請業者。誰を相手方にするか?

当事務所の弁護士がY市に対し、X制作の代理人として警告書を発したところ,Y市は,ある大手旅行代理店(A旅行社)に資料作成を委託し,そのA旅行社はさらに下請業者(B下請)に資料作成を委託していたことがわかりました。
もともとは無断利用したB下請が一番悪いわけですが,この場合でも,資料を複製して納品したA旅行社や,資料を複製してHPに公開したり各所に配布したY市が著作権侵害の責任を問われることに変わりはありません。
したがって本件の相手方としては
▼ Y市
▼ A旅行社
▼ B下請

の3つが考えられました。

2 Y市のみを相手方とした。その理由は・・・

まずB下請を相手にしても埒があかないので論外。
一方でY市を相手にすると、非常に長引くことが予想されました。地方公共団体は自らに賠償責任があることを容易には認めないためです。
しかし検討を重ねた結果、本件では地方公共団体だけを相手にすることにしました。
地方公共団体を相手に警告書を送れば、おそらくA旅行社があわてて飛んでくるだろうと考えたためです。
A旅行社としては、大事なお客様であるY市に迷惑をかけることは絶対に避けたいのではないか、と考えたのです。

3 入念なイラストの対比作業を行う

交渉相手が決まれば、次は事前準備です。
既にY市がどのイラストを使っていたかは判明していたため、Y市が使用した各イラスト(200枚以上ありました)を全てピックアップし、X製作が作成したイラストとの対比表を作成しました。
X製作のイラストをそのまま使っているものもあれば、若干編集して使っているものもあったため、ひとつひとつ取捨選択しながらの作業でした。
かなりの時間と手間はかかりましたが、無断使用されたイラストの枚数は損害額に直結するため、慎重に行いました。

4 交渉開始、すぐに解決

準備完了後、予定どおりY市に対して警告書を送りました。
すると、これまた想定どおり、A旅行社の代理人弁護士からすぐに連絡がありました。
A旅行社側は、とにかくY市には迷惑をかけられないということで、すぐに著作権侵害の事実を認めました。あとは損害賠償の金額だけについて少し交渉をし、こちらが請求金額を少しだけ譲歩することですぐに交渉が成立。結果的に当方の見立てどおりとなりました。
この手の著作権紛争としては極めて短期間に解決したケースで、依頼者の方にもとても満足していただけました。

【教訓】 誰に対して請求するかの見極めが、勝敗を決する。