ベンチャーやIT企業に限らず、事業者であれば、著作権に関する契約を締結する機会は必ずあると思います。

たとえば
・ WEBサイト制作委託契約
・ コンテンツ制作委託契約
・ 業務システム開発委託契約
なんかは、ほぼあらゆる企業が締結している契約だと思います。

また、コンテンツを扱う企業であれば
・ 配給契約
・ インターネット配信契約
・ 映画化契約
・ アニメ化契約
・ ドラマ化契約
なんかも締結していますね。

今回は、このような著作権に関する契約書について3つのパターンを紹介します。
著作権契約って何?という方も、とりあえずこの3つを押さえておけば大丈夫です。


■ 著作権契約の種類はざっくりいうと3つ

非常にざっくり言うと、著作権契約の種類は

1 著作物の制作に関する契約(制作委託契約)
2 著作物の利用に関する契約(ライセンス契約)
3 著作権譲渡契約

の3つです。
そもそも「ビジネスで著作物(コンテンツ)を利用する」というのは、要するに「誰かが作ったコンテンツを」「いろいろな方法でマネタイズする」ということです。
したがって、この「誰かが作ったコンテンツを」「いろいろな方法でマネタイズする」の2つの段階に応じて契約書があると考えて貰うと比較的理解しやすいと思います。

スライド1

 ▼「著作物の制作に関する契約」

自分が使うコンテンツを自分が作るのであれば,当然契約書は必要ありませんが,「外部業者にコンテンツの制作を委託する」「共同で著作物を制作する」「著作物を公募する」などの場合には,その権利関係を明確にするために「著作物の制作に関する契約」を締結する必要があります。
これが著作物を「作る」ことに関する契約です。

 ▼「著作物の利用に関する契約」「著作物譲渡契約」

次に,コンテンツをマネタイズする場合、その方法は大きく分けて

「自分で使う」
「第三者に使わせる」
「第三者に販売する」

の3つがあります。

 「自分で使う」パターン

たとえば,ある小説を個人が執筆したうえで会員制のサイトを開設し、そのサイトに自分の小説を格納して課金して読んで貰うというビジネスは「自分で使う」パターンです。
「自分で使う」パターンは自分一人で完結している行為ですから特に契約は必要ありません。
最近はnoteなどを利用してコンテンツを配信する人が増えていますが、このパターンですね(noteのシステムを利用する契約は当然必要ですよ、もちろん)。

 「第三者に使わせる」パターン

次に、小説を執筆した人がその小説を「出版社と出版契約を結んで出版させる」「映画会社と契約して映画の原作として使わせる」のは「第三者に使わせる」パターンです。
この「第三者に使わせる」パターンについては
・ どの著作物のどの部分を
・ どのように(出版なのか、映画化なのか、ドラマ化なのか)
・ いくらで使わせるのか
ということを明確に決めなければなりません。
つまり「著作物の利用に関する契約」を締結する必要があります。

 「第三者に販売する」パターン

最後に、「第三者に販売する」パターンがあります。
小説に関しては「第三者に販売する」というパターンはあまりありませんが、たとえばwebサイト制作会社が委託を受けてサイトを制作し納品する場合には、作成したコンテンツの著作権を発注者に全て譲渡する、ということがほとんどですので、「第三者に販売する」パターンということになります。

この「第三者に販売する」パターンについては
・ どの著作物のどの部分を
・ いくらで
・ どの権利について売却するのか
を契約にしなければなりませんので、「著作権譲渡契約」を締結しなければなりません。

 ▼ まとめ

つまりコンテンツを「作って」「マネタイズする」という流れから

1 著作物の制作に関する契約(制作委託契約)
2 著作物の利用に関する契約(ライセンス契約)
3 著作権譲渡契約

が必要になる,ということになります。

もちろん,細かいバリエーションは無数にありますし、実際にはこの3つのパターンを組み合わせた契約も沢山あります。たとえば、WEB制作会社が締結するサイト制作委託契約は、基本的には1の「著作物の制作に関する契約(制作委託契約)」ですが、その中に制作したコンテンツの著作権を注文者に譲渡するという「著作権譲渡」に関する条項がありますので、両者が組み合わされているということになります。

それぞれの契約書の雛形については、以下のページで紹介していますので、ぜひご覧になって利用してください。

1 著作物の制作に関する契約(制作委託契約)
2 著作物の利用に関する契約(コンテンツ利用許諾契約)
3 著作権譲渡契約


 ■契約書が作れない場合最低限これはやっておこう

次に「契約書が作れない場合最低限これはやっておこう」について説明します。

これまで著作権に関する裁判や交渉に数多く携わってきましたが,そのほとんど全てが、契約書が存在しないケースでした。
逆に言えば,きちんとした契約書があれば紛争は起こりにくいのです。
そうは言っても

「相手を信用していないようで,こちらから契約書作ってくれとはいいづらいし・・・・・」
「企画会議が始まると,そのまま勢いで制作に入ってしまうので,どこのタイミングで契約書作成を言い出したらいいかわからないし・・・」
「そもそも契約書に何を書いたらいいかわからないし・・・」
「ネットにはいろいろな契約書の雛形があるけど,信用していいかどうかわからない・・・」

と,たくさんの「・・・・」があることは理解できます。

それでも,契約書を作った方が良いことは間違いありません。
問題は,相手との力関係から契約書を作れないときにどうしたらよいか,ということです。

一つの方法としては,「とにかく形に残す」ということです。
メールでもファックスでも手紙でもいいので,こちらの要望や希望,考えをなるべく形に残すことです。

契約とは,「当事者双方の意思の合致」ですので,どちらが一方がメールやファックスなどで連絡したとしても,その内容が直ちに契約の内容になるわけではありません。
しかし,こちらからの連絡に相手から特に意見・反論・対案がない場合,こちらの考えを先方が黙認したといえることがほとんどです。

そのため,万が一後日紛争になった場合には,そのような文書が非常に有力な手がかりになります。
最近はSNSでのやり取りが増えたので,そのままそのやり取りが証拠になることも多いですが,打ち合わせや電話のやり取りで何か重要な事柄が決まることも多いでしょう。

そのような場合は,議事録を作成して送るか,「先ほどの打ち合わせ,電話の趣旨について確認させてください」などとしてメールなどを送っておくとよいでしょう。

人は(と突然一般化しますが)なかなか有事を想定して準備しておくことができない存在です。

しかし,後日紛争になった場合に,メール一本,ファックス一枚で会社を救うことにもなりますので,できるだけこまめに対処することをお勧めします。
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