_MG_7188あなたが素晴らしいビジネスアイデアを思いついたとします。その後夢中で考え続け、ターゲット、ニーズ、市場規模などをまとめた事業計画ができました。
ここで更にビジネスをブラッシュアップするために必要なのが【ビジネスデザイン】です。

■ビジネスデザインとは

ビジネスデザインとは【(1)ビジネスフロー+(2)契約・利用規約+(3)法的規制のこと。
「契約書なんてネットで拾える」「利用規約も落ちてるよ」「法的規制を弁護士に聞いたってどうせ●●の法律があるからできませんという回答するだけ。お金のムダ」なんていう声が聞こえてきます。本当にそうなのでしょうか。


(1)ビジネスフロー

ビジネスフローとは、ビジネスの中でどのようなプレーヤーが登場し、サービスや製品、お金がどのように流れているのかのこと。
いわゆる「人、モノ、カネ」の流れを指しています。


(2)契約・利用規約

ビジネスフローが決まれば実際にビジネスが動き出すかというとそうはいきません。サービスや製品、お金がどういう理由で動くのかを根拠づける契約や利用規約が必要不可欠です。

■具体例

たとえば【ユーザーから写真やイラスト(コンテンツ)の提供を受けて他のユーザーに販売する】というWEBビジネスを考えてみましょう。スライド1
この場合のビジネスフローはこのようになります(代金の決済方法はクレジットカードや携帯電話キャリアによる決済などがありますが、ここでは直接支払いのみとします)スライド4
めちゃめちゃシンプルですよね。
モノ(コンテンツ)の流れは【提供ユーザーが事業者(あなた)にコンテンツを提供して事業者が購入ユーザーに提供する】、逆にお金の流れは【購入ユーザーが事業者にお金を支払い、事業者が提供ユーザーにお金を支払う】だけです。
ただこれを契約で裏付けるとなると、少し頭をひねる必要があります。

■ビジネスフローを契約で裏付ける

このWEBビジネスで考えられる契約のパターンは2つあります。
1つは【事業者がコンテンツの売買の直接当事者となるパターン】(当事者型)、もう1つは【事業者はマッチングサービスとして場を提供するだけのパターン】(仲介型)です。
たとえばLINEがスタンプの提供を受けて販売するLINE CREATORS MARKETは当事者型ですし、動画コンテンツを作成者から提供を受けて販売するmanebiは仲介型です。

当事者型と仲介型の契約を図にするとこうなります。
スライド5
スライド6
ビジネスフローでは単に【お金の流れ】と書かれていたのが
【売買代金】【預り金】【預り金から利用手数料を差し引いた金員】など、色んな性質の【お金の流れ】だったことがわかります。

【お金の流れ】を整理することで、事業者の売上の立て方も変わります。当事者型における「売買代金」であれば、売買代金そのものが売上になりますが、仲介型における「預り金」は売上ではありません(提供ユーザーに渡した後の差額=利用手数料部分のみが売上になります)。

■当事者型と仲介型の違いは?

当事者型と仲介型で最も異なるのは【事業者が売買契約の当事者として、売買契約上の責任を負うか】の点です。
当事者型の場合、提供されたコンテンツ(写真やイラスト)に著作権違反などの欠陥があったり、お金を支払ったのにコンテンツが提供されないなどの場合、事業者自身が売主として瑕疵担保責任やコンテンツ提供義務を負担します。
一方で仲介型の場合、事業者はあくまで売主ではありませんので、買主に対する直接の責任は負わないことになります。
この2つのパターンを整理したのが以下の図です。
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■ネットで手に入る契約書のひな形で足りるのか?

単にビジネスフローを組むだけではビジネスを動かすことはできません。たとえば売買型の方が事業者のリスクは高いですが、事業者が得られる利益率は仲介型より高い場合が多いです。リスクと利益率を踏まえたビジネスのスタイルに沿って契約をデザインすることが必要になります。

ネット上に落ちている契約書ひな形を使うことに問題はないのでしょうか。
売買や賃貸借などの典型的な契約であれば、作成することはそれほど難しくはありません(例外もあります)。こういう典型的な契約であれば、ネット上のひな形をベースに修正するかたちで利用しても大きなリスクはないかもしれません。

■新規ビジネスの場合、ひな形ではないオーダーメイドが必要

しかし新しいスタイルのビジネスを始めようとする場合、ビジネスの新規性が高ければ高いほど、既にあるひな形では間に合いません。ビジネスフローを前提としたオーダーメイドの契約書を作成する必要が高いのです。
オーダーメイドの契約書を作成するためには、サービスや製品、お金の流れが、どの契約のどの条項に基づくものなのか、条項は互いに矛盾していないかなどの細かいチェックが必要となってきます。

ベンチャー経営者の方が考えた事業計画を持参され「こういうサービスをやりたいので、契約書や利用規約の作成をお願いします」という場合、その段階ですぐに契約書は利用規約を作成できることはまず100%ありません。
「ビジネスフロー」はできていたとしても「契約関係」の詰めが不十分だからです。
依頼者から、詳細をお聞きしてビジネスの目的や詳細を確認し、契約・利用規約をデザインしていくことになります。契約のデザインを通じてビジネスフローの欠陥が見つかることも珍しくありません。


(3)法的規制

ビジネスに対する法的規制の理解も必要不可欠です。単なるマッチングサービスでも、扱う商品によっては法的規制がかかってくることもあるためです。
これは規制がある場合にはあきらめなさいという話ではなく、むしろ法的規制を前提として、当初のビジネス目的をどのように達成するかを考え抜くことになります。
この法的規制を上手く突破できれば、他社が参入をあきらめていた分野で一人勝ちのチャンスがあるかもしれません。


■まとめ

ビジネスをブラッシュアップするために必要なのは、ビジネスデザイン=【(1)ビジネスフロー+(2)契約・利用規約+(3)法的規制の構築です。
単にひな形をベースにした契約書を作成するのではなく【ビジネスフローを整理して、当該サービスに最適なオーダーメイドの契約・利用規約を作る】【存在する法的規制を整理して突破する方法を考える】ために。新規ビジネスプランを考える際には、是非ビジネスデザインを意識するようにして下さい。