サイト売買で必ず作成することになるのが契約書。
以下ではサイト売買契約書の雛形を示し、各条項について詳しい説明を加えています。作成に関するご相談は当事務所までお問い合わせください

【注意事項】
・ 自己又は自社内でのビジネスのための利用は問題ありませんが、それ以外の利用及び第三者への転送を禁止します。
・ 契約書雛型についてSTORIAはいかなる保証もおこなわず、雛型の利用に関し一切の責任を負いません。
・ 雛型に関する著作権その他の一切の権利はSTORIAに帰属しており、雛型の利用の許諾はかかる権利の移転を意味するものではありません。


ウェブサイト事業譲渡契約書

●●(以下「甲」という)と△△(以下「乙」という)とは,甲が保有するWEBサイト事業を乙へ譲渡することに関し,以下の通り契約(以下「本契約」という)を締結する。

これは契約の「前文」と呼ばれるものです。前文の目的は,①契約の当事者及び②契約の目的・趣旨を宣言することにあります。前文があってもなくても契約の効力には影響しませんが,契約を解釈する場合に参考として利用されることがあります。


【第1条】(事業譲渡)

甲は乙に対し,甲が保有する以下のWEBサイト事業(以下「本件事業」という)を譲渡し,乙はこれを譲り受ける(以下当該譲渡を「本件事業譲渡」という)ものとする。

1.★★1★【URL: http://www.aaa-bbb.com/】
2. ★★2★【URL: http://www.ccc-ddd.com/】
・・・・・
以上
(以下,総称して「対象サイト」という)


【第2条】(譲渡基準日)

平成●●年●●月●●日を譲渡基準日とする(以下「譲渡基準日」という)。
但し,甲乙合意の上,譲渡基準日を変更できるものとする。

ここで「譲渡基準日」を特定しているのは,譲渡の対象となる権利関係,契約関係を特定し,どの時点まで発生した債権が譲渡対象となるかを特定するためです。


【第3条】(譲渡対象)

1.本件事業譲渡に際し,甲は乙に対し,第3条に定める譲渡基準日の時点で本件事業に属する以下の各資産(以下「対象資産」という)を譲渡するものとする。

(1) 対象サイトのドメイン(aaa-bbb.com ,ccc-ddd.com)の使用に関するすべての権利
(2) 対象サイトに関して甲が所有する一切のプログラム(ソースコードを含む),デザイン,データ,コンテンツ及びこれに付随するプログラム,並びにこれらの使用に必要なパスワード等の情報(以下総称して「コンテンツ等」という。)
(3) 対象サイト及びコンテンツ等に関して甲が有する著作権(著作権法第27条及び第28条に規定する権利を含む),その他特許権,実用新案権等,これらの対象となり得るが未だ登録の出願がなされていない発明,考案等に関する一切の知的財産権,甲が有する名称・意匠に関わる商標権,意匠権等一切の権利
(4) 対象サイトに関し甲が所有する会員情報及びこれに係る資料一切
2. 本件事業譲渡に際し,甲は乙に対し,譲渡基準日において締結されている本件事業に係る以下の各契約(以下「対象契約」 という)の契約上の地位を移転するものとする。
(1) 本件事業に使用しているショッピングカートシステム会社との一切の契約
(2) 対象サイトのドメインに関する一切の契約。
(3) 対象サイトの会員との一切の契約。
(4) 対象サイトの広告主との一切の契約。
(5) その他甲が指定する契約。
3.本条の規定にかかわらず,以下の各資産は譲渡の対象資産とならない。
(1)本件事業に関し,譲渡基準日までに発生する売掛金及び買掛金その他一切の金銭債権債務

ここでは譲渡の対象となる権利関係,及び契約関係について規定しています。
一般的には、サイト売買において譲渡の対象となる権利関係及び契約関係には以下のものがあります。
これらについてどの範囲で移転するかを定めた条項であり,契約書の中核部分とも言えます。
(a)ドメイン利用に関する権利・契約関係
(b)ウェブサイトに含まれるコンテンツ(プログラム,データ,デザイン,宣伝文句等),及び当該コンテンツに関する著作権等知的財産権
(c)当該ウェブサイトの既存顧客に関する個人情報
(d)ウェブカート等の決済機能(決済業者との間の契約関係)
(e)サイト利用会員との契約関係
(f)すでに発生している顧客との債権債務関係
(j)広告主等との契約関係

【第4条】(譲渡代金)

1.乙は甲に対し,本件事業譲渡の代金(以下「本件譲渡代金」という)として,金500万円(税別)を支払うものとする。
2. 乙は,本件譲渡代金を,次項に定める引渡し完了日から2週間以内に甲の指定口座へ送金するものとする。送金手数料は乙の負担とする。

譲渡代金の金額と支払時期を定めた条項です。
この条項では,先に情報やデータの引渡し,確認をおこなってから譲渡代金を支払うことにしていますが,場合によっては譲渡代金の一部を手付金として支払うこともあり得ます。


【第5条】(引渡し)

1.平成●●年●●月●●日までに,甲は乙に対し,現状有姿(対象サイトにかかる被リンクの数並びに貼付位置も含む)にて,甲と乙が協議の上,決定する方法により対象資産及び対象契約の契約上の地位を引渡す。また乙は,対象資産及び対象契約の契約上の地位の移転に必要な手続きを遅滞なく行うものとする。
2. 対象資産の引渡しは,乙が対象資産の検査を行い,甲に対し合格を通知することにより完了するものとする。但し,乙は甲に対し,対象資産の引渡しを受けた時から14日以内(土日,祝日を含む)に検査の合否を通知しなければならず,同期日内に通知がない場合は引渡しを完了したものとみなす。
3. 乙が甲に対して不合格を通知する場合,対象資産の不足,現状の運営に支障をきたす暇庇又は欠陥,サイトの運営内容や本件事業に関連する取引業者との取引等に関する虚偽報告等,相当の理由を示して通知しなければならない。
4. 本条第2項に規定する引渡し完了前に生じた対象資産の滅失,変質その他一切の損害は,乙の責めに帰すべき場合を除き甲の負担とし,譲渡基準日以後に生じたこれらの損害は,甲の責めに帰すべき場合を除き乙の負担とする。

譲渡の対象となった資産や契約の引き継ぎ期限を定めた条項です。引き継ぎを受けた買い主は14日以内にその内容を検査して不足や欠陥がある場合には連絡をしなければなりません。この連絡がない場合は引き渡しが完了したことになり、以後買い主は文句を言うことができなくなります。

【第6条】(精算並びに回収・支払の代行)

1. 本件事業の資金収支及び損益の帰属は譲渡基準日をもって区分するものとし,精算が必要な場合は甲乙協議の上決定するものとする。
2. 譲渡基準日以降,乙が受領すべき金員を甲において受領した場合、又は甲が受領すべき金員を乙において受領した場合は,甲及び乙は相手方の指定する口座に電信振込みによりすみやかに返還を行うものとする。但し,この場合の費用(送金手数料等)は相手方(本来当該金員を受領すべき者)が負担し,利息は付さない。
3. 前項に定める精算は毎月月末をもって行い,支払うべき金員が受領すべき金員を上回った当事者が,差引計算のうえ相手方の指定する口座に各精算日翌月の末日(当該日が休日の場合は翌営業日とする)までに送金手数料を控除の上送金するものとする」
4. その他詳細については,甲乙別途協議の上決定するものとする。


【第7条】(譲渡後の権利)

 甲は,乙または乙が指定する第三者に対して著作者人格権を行使しないものとする。

対象サイトに含まれるコンテンツの著作権は本契約によって譲渡されることになりますが、著作者人格権については譲渡することができません。そのため、このように買い主または買い主が指定する第三者に対しては著作者人格権を行使できない旨定める必要があります。

【第8条】(表明及び保証)

1.本件事業に関し,甲は乙に対し,本契約締結日現在及び譲渡基準日現在において,以下の事項が真実かつ正確であることにつき表明しかつ保証する。
(1)本件事業及び対象資産の譲渡において会社法その他法令上必要となる手続を経ていること。
(2)甲及び乙は,本契約の他に本件事業及び対象資産について,第三者に譲渡する旨の契約を締結していないこと。
(3)本件事業及び対象資産について,第三者に対する担保権が設定されていないこと。
(4)本件事業又は本契約に関して,いかなる訴訟,仲裁,調停,その他の法的手続きも係属しておらず,いかなる法律,規則,命令等の違反もなく,また,甲の知る限りそのおそれもないこと。
(5)本件事業に付随する取引先,従業員及び役員に暴力団等反社会的勢力を含まないこと。
(6)対象資産に関する契約は,全て有効に存続しており,甲に,かかる契約の債務不履行は存在しないこと。
(7)甲から乙に譲渡される対象資産に,本件事業の遂行が困難になるような重大なる取庇が含まれないこと。
(8)甲から乙に,譲渡基準日までに提供される本件事業に関する情報は,乙が本契約を締結するために必要かつ十分な情報を含んでおり,一切の虚偽が無いこと。また,これら以外に重要な事実は存在しないこと。
2.甲は,本件事業譲渡後のSEO対策に関する順位,既存の顧客に関する契約継続の有無や乙による新規営業の契約状況等を含む本件事業に関する一切の責任を負わないものとする。但し,甲は乙に対し,譲渡基準日から1ヶ月間,対象サイトの運営方法の指導助言及びノウハウの引継ぎのために,電話・メールによる無償サポートを行うものとする。

この表明および保証条項は、あくまで一般的な内容しか記載していません。具体的な内容について保証して欲しければ、たとえば「売主は、本契約締結後1年間は、下記の商材を下記仕入れ先から下記数量以上仕入れることができることを表明・保証する」などと具体的に記載する必要があります。

【第9条】(競業禁止)

甲は、直接または間接的に(関連会社を通じて行う場合も含む)譲渡基準日から2年間は、本件事業を営んではならない。ただし、本条に定める制約は以下の場合には適用されず、甲またはその子会社が以下の事業を行うことは妨げられない。
(1) ●●事業
(2) ▲▲事業

競業禁止義務を定めておかないと、会社法上の「事業譲渡」に該当しない限り当然には売主による競業行為を禁止することができません。ですので買い主としては是非この競業禁止条項は入れておきたいところです。

【第10条】(事業の運営)

1.甲は,対象資産の引渡し完了までの問,善良なる管理者の注意義務をもって,本件事業を通常の状態に維持し,運営を継続する。
2. 甲は,対象資産の引渡し完了までの問,本件事業の価値を減少させる可能性のある一切の行為,及びそれに付随する合意の締結は行わないものとする。
3. 甲は,通常の事業の運営によるものを除き,本件事業に属する資産について,譲渡,担保権設定,賃貸(対象資産についてすでに行われているものを除く),その他一切の処分,その他の資産の取得,債務負担,及び本件事業の譲渡を制約する可能性のある一切の行為を行わないものとする。
4. 甲に前各項に該当する事由があった場合,乙は当該行為の原状を回復するために必要な措置を甲の費用をもって行うことができるものとし,当該措置によっても回復できない行為があった場合,乙は本契約を解除することができる。

サイト売買契約締結から、実際の権利義務や契約関係の移転が終了するまでは一定の期間を要することが通常なので、その間の売り主の禁止行為を定めています。サイト価値を損なうようなことはしてはならない、サイトを構成する資産を第三者に譲渡してはならない、など常識的な事柄が主ですが、念のために規定すべきです。

【第11条】(瑕疵担保)

1.譲渡基準日から6ヶ月間に限り,甲が乙に譲渡した対象サイトにつき隠れた暇庇があった場合,甲は,隠れた瑕疵の修補義務を負うものとする。
2. 前項の場合であって瑕疵の補修が不可能な場合には,乙は任意に下記各号のいずれをも行使することができるものとする。
(1)本件譲渡代金の減額請求
(2)本契約の全部又は一部の解除
(3)損害賠償請求


【第12条】(不可抗力)

天災地変その他甲乙の責めに帰すべからざる事由により,本契約の全部文は一部が履行不能になった時は,本契約はその部分について,当然効力を失うものとする。


【第13条】(秘密保持)

1.本契約において「秘密情報」とは,本件事業譲渡に関連して,甲及び乙が,相手方より書面,口頭若しくは磁気記録媒体等により提供若しくは開示された,相手方に関する技術,事業,業務,財務又は組織に関する全ての情報を意味する。但し,以下の各号に定める情報は,機密情報には含まれないものとする。
(1)相手方から提供若しくは開示がなされた時又は知得した時に,既に一般に公知となっていた,又は,既に知得していたもの
(2)相手方から提供若しくは開示又は知得した後,自己の責めに帰せざる事由により刊行物その他により公知となったもの
(3)提供又は開示の権限のある第三者から秘密保持義務を負わされることなく適法に取得したもの
(4)秘密情報によることなく単独で開発したもの
(5)相手方から秘密保持の必要なき旨書面で確認されたもの
2. 甲及び乙は,秘密情報を相手方の書面による承諾なしに第三者に提供,開示又は漏洩しないものとする。但し,本件事業譲渡が実行された場合には,乙は本件事業に関する情報については秘密保持義務を免れるものとする。
3. 甲及び乙は,本件の評価及び検討のため,銀行,公認会計士,弁護士その他の専門家に対して秘密情報を開示することができる。
4. 本条第2項の定めに拘わらず,甲及び乙は,法律,裁判所又は政府機関の強制力を伴う命令,要求又は要請に基づき,秘密情報を開示することができる。但し,当該命令,要求又は要請があった場合,速やかにその旨を相手方に通知しなければならない。
5. 本契約が理由の如何を問わず終了した場合,甲及び乙は,相手方から開示を得た秘密情報を返還し,文は廃棄した上,なおこれに関して秘密保持義務を負う。


【第14条】(契約解除・損害賠償)

1.本契約に規定する条項に違反したときは,相手方は違反者に対し,その行為の是正を書面にて勧告し,なお是正しない場合は,本契約を解除することができる。
2.甲又は乙が本契約を解除した場合,乙は,10営業日以内に甲より引渡された全ての対象資産を甲に返却し,複製したデータ及び印刷物は甲の指示に従い全て破棄・消去しなければならない。又,乙の責に帰す解約の場合は,移転された契約について,乙は甲に対し,当該契約上の地位を原状回復するに際し,契約の相手方の承諾を得ることなど必要な手続に協力しなければならない。
3.本条第l項の場合において,損害を被った相手方は,違反者に対し,相当額の賠償を請求することができる。


【第15条】(専属的合意管轄に関する規定)

本契約の準拠法は日本法とし,本契約に起因し又は関連する一切の紛争については,乙の所在地を管轄する裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。


【第16条】(特記事項)

本契約において,以下のとおりとする。尚,特記事項と本契約の他の条項が矛盾,又は抵触する場合は,矛盾,文は抵触の範囲において特記事項が優先する。
(1)甲は,甲の保有するサイトから対象サイトへのリンクを,譲渡基準日後1年間継続することを保証する。但し,甲が,予め乙へ明示した上で,リンク元サイトの運営を終了し,または売却を行う場合の当該サイト内に存在したリンクについては継続を保証しない。

集客力のある売主運営サイトからのバックリンクによって譲渡対象のサイトの検索順位が上がっている場合は、バックリンクの保持を一定期間保証することがあります。この条項はそれを定めたものです。

【第17条】(協議事項)

本契約に定めのない事項及び,疑義については,甲乙双方誠意をもって協議し解決を図ることとする。

以上,本契約締結の証として本書2通を作成し,甲乙記名捺印の上,各1通を保有するものとする。

平成●●年●●月●●日

(甲)所在地 ●●
社名  株式会社A
代表者 甲野乙男

(乙)所在地
社名  B株式会社
代表者 丁原一夫